AAR/フレイヤの末裔/盟主フレイ
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[[AAR/フレイヤの末裔]]
[[AAR/フレイヤの末裔/盟主カルル(完結編)]]
**幕間「白シャツ」 [#lca2b994]
'''「あらゆる危険は必ず不名誉を伴って終わる――死んでしまう...
'''――『キャルネス家のサガ』第8章'''
外套越しにフィンランドの冷気が沁みる。クストーの湿った...
&ref(Hrane01.png);「猊下、この様な辺境までお越しになられ...
&ref(Freyr01.png);「いや、ハイコネンの長よ、良くぞ伝えて...
馬車から降りると、息子と近衛達を従えたフィンランド大族...
とはいえ、フレイに彼らの緊張を解してやっている時間は無...
&ref(Freyr01.png);「いつ頃の事だ」
&ref(Hrane01.png);「はっ、もう四年近くに……&ruby(スネッケ)...
&ref(Freyr01.png);「四年か……随分待たせてしまったものだ、...
&ref(Hrane01.png);「しかし、今も意識があるかどうか……」
砦の内側にホラーネが案内する。行き先はホラーネの邸では...
&ref(Hrane01.png);「幾らかでも安らげる様に急ぎ以て建てさ...
それは確かに大きくは無いが、フィンランドの良質なマツ材...
その前に立つ者がある。仕立ての良い清潔な白シャツを着た...
&ref(Rognvald.png);「猊下に拝謁叶い恐悦至極に存じます」
&ref(Freyr01.png);「君が、ローンヴァルドか」
&ref(Rognvald.png);「はい。畏れながら、平服にて」
跪く彼の手には、一口の剣が握られていた。彼なりの正装と...
&ref(Freyr01.png);「叔母上……エドラ殿は」
&ref(Rognvald.png);「父の傍におります。火を絶やす訳にはい...
&ref(Hrane01.png);「では中に……」
ホラーネが促そうとした時、少年……ローンヴァルドが立ち上...
&ref(Rognvald.png);「それは、罷りなりません。猊下の御来訪...
&ref(Hrane01.png);「何を……!!?」
&ref(Freyr01.png);「……」
ホラーネが咎める。しかし、ローンヴァルドの目に燃えるも...
それが何か、フレイには判った。解っていた。そこで燃えて...
&ref(Rognvald.png);「盟主猊下をホーセンスから、はるばるフ...
&ref(Rognvald.png);「であれば、これ以上の愚弄は控えられた...
余りの言い様にホラーネが泡を吹いて倒れそうな顔になる。...
それは衒いでも何でもなく、フレイの本心から来るもので、...
&ref(Freyr01.png);「……義叔父上の事は、申し訳なく思ってい...
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ローンヴァルドは全身を戦慄かせ、手の骨が軋む程強く剣を...
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フレイはただ瞑目し、ぶつけられる全ての言葉を受け止めて...
&ref(Freyr01.png);「……今年で幾つになる」
&ref(Rognvald.png);「12に」
&ref(Freyr01.png);「そうか……では、まだ戦場を知るまい」
ローンヴァルドの顔がみるみる紅潮する。当然だった。サフ...
「戦知らずの餓鬼が大口を叩いた」と言われたも同然だった...
&ref(Rognvald.png);「だとして何だ……!? ローンヴァルドは...
ローンヴァルドはノルドの若者らしい覇気に満ちていた。フ...
北海を隔てた島国で、百年もの長く、孤独な戦いを続けて来...
&ref(Freyr01.png);「ローンヴァルドをレヴァル族長に封じる...
&ref(Rognvald.png);「な……!?」
&ref(Freyr01.png);「"白シャツ"ハルフダンが斃れたラトガル...
&ref(Freyr01.png);「余はこれで去る……勇者・トティルの息子...
背を向けるフレイに、ローンヴァルドは言葉を探していた。...
しかし、ただ呆けたまま見送るわけにも行かなかった。そう...
&ref(Rognvald.png);「盟主・フレイに、我が父・トティルの予...
&ref(Rognvald.png);「インガは、シフに呪われた……と。その呪...
&ref(Freyr01.png);「心得た……その呪い、余が命を掛けて退け...
フレイにホラーネが慌てて続く。誰を庇おうとしているのか...
フレイにとって重要なのは、アストリドやローンヴァルド、...
&ref(Freyr01.png);(……我々は『前触れ』であれば良い。そう...
スカンディアの春は短い。より多くの芽吹きに実を付けさせ...
*盟主フレイ 12.26.983~ [#v10cf898]
&ref(聖帝フレイ.png);
988年、即位から5年後の盟主フレイ。少々臆病な所はあるが、...
盟主、或いは「聖帝」フレイ。前帝カルルが崩御した時点で...
ともかく、フレイはノルドの求める、若く強い指導者とはと...
最初に行ったのはヨムス・ヴァイキングへの寄進である。純...
また、フレイはノルド達によって漠然と「盟約」と呼ばれて...
続けて行ったのは、カルル帝最後の勅令で編成が進められて...
シグルド2世による東フランクへの聖戦はスウェーデン有利に...
更に、フレイが即位して間もなく明けた984年の年始……
&ref(フリジアンライジング.png);
ネヘレニア戦争によって割譲され、スカンジナヴィアから遠...
彼らはノルドやフランクのくびきから、カソリック国家とし...
シグルド2世はこれの迎撃に手を貸す事を約束したが、それで...
そしてそれから4ヶ月……
&ref(ノルドの完全な駆逐.png);
ヨルヴィクの残酷王・トティルは最後の版図であるサフォー...
&ref(トティル.png);
トティルは長男・ローンヴァルドと共にフィンランドに落ち...
**暴動による前奏 [#a715d029]
同年6月。
&ref(暴動拡大.png);
ダンツィヒで帝国軍と戦い、その大部分を失いながらもバル...
しかし、彼らは決起して間もなく、即座に鎮圧される。
&ref(グライフスヴァルトの戦い.png); &ref(ストラルスンド...
彼らが集結したグライフスヴァルトに、丁度ヨムス・ヴァイ...
この軍団はスカンジナヴィア帝の徴集兵ではなく、帝国軍本...
ともかく、この戦いでカソリックの暴動は大きく勢いを失い...
&ref(イツェホーの戦い.png); &ref(イツェホーの戦い2.png);
同年11月。スカンジナヴィア軍・約10000名が、ホルステンに...
中央部隊が壊走するも、未だ現役で武勇を誇るトステ率いる...
翌年1月にはカソリックの暴動も完全に鎮圧され、フリギア暴...
その前後に、一つの事件が起こる。
&ref(変死.png);
フレイヤとバグセクの時代からフローニに忠労を尽くして来...
フィンランド王位は相続法が改められる前にアヌンドルに与...
ビョルンは「これはフレイ帝による暗殺である」と主張、一...
真相は今もって不明だが、野心的な息子による親殺しという...
しかし、ビョルンの主張の方も全く無根拠のものでもなかっ...
&ref(選挙.png);
前稿でも解説した通り、この相続法に於いては「優れたノル...
フレイは当然、長女・インガを指名し、彼女を宮廷預言者に...
つまり、強力な対抗馬であるアヌンドルを恐れての暗殺だと...
相次いだ暴動の鎮圧で消耗した帝軍。そしてアヌンドル王の...
この二つが重なった事が、更なる事態をスカンジナヴィアに...
**余談・グリーンランド植民 [#zbdf258f]
985年5月。嘗てグンビョルンによって偶然に発見された未知...
それを扇動したのは、殺人の罪で平和喪失刑に処された「赤...
&ref(グリーンランド.png);
グリーンランドがその名に反して、氷河と万年雪とツンドラ...
何れにせよ、ヴァイキング達の飽くなき冒険心はこうして欧...
**デルグンの乱 [#x5a0ff98]
986年9月下旬。
戦費と兵力の回復の為、未だスウェーデンが「聖戦」を戦う...
&ref(Dergun.png);「偉大なる&ruby(フィルキル){盟主};・カル...
&ref(Dergun.png);「しかし、カルルは帝王としてただ一つ、行...
&ref(Dergun.png);「"&ruby(ヘイムスヴェルディ・オー・ノル...
&ref(Dergun.png);「このデルグンは&ruby(エースティー){エス...
&ref(Dergun.png);「盟主フレイよ! 天と地の威を違えず、我...
&ref(Freyr01.png);「愚かなりデルグン。親殺しのビョルンに...
&ref(Freyr01.png);「ノルドとは今やスカジの地を故郷とする...
エストニア西部、レヴァルの族長・デルグンが、独立を求め...
ビョルンがどの段階で独立派に盟していたのかは不明だが、...
&ref(東西ブレイク.png);
こうしてスカンジナヴィアを東西に割った、「デルグンの乱...
&ref(ホーセンス占領.png);
スコーネ族長に導かれたフィン人とスラヴ人の各軍勢はユラ...
しかし、その中にフレイの姿は無く、それどころか衛兵以外...
&ref(Totil.png);「いっひっひっひ、身内とやれる機会なんて...
&ref(Totil.png);「どうせならお互い、派手にやろうや!! ...
それはビョルンと同じユート氏族の大族長であり帝軍元帥で...
ホーセンスを囮にして叛乱軍が集結するのをブレーメンとハ...
987年11月……帝軍・約7000名と叛乱軍・約6000名は、ランダー...
&ref(ランダースの戦い.png); &ref(マルヤカ捕縛.png);
西進で疲労した叛乱軍を、体力を温存していた帝軍が圧倒、...
追撃戦は翌年の2月まで続けられたが、最終的には叛乱軍は崩...
彼らは所領を取り上げられ、多くは身代金と引き換えに釈放...
&ref(Freyr01.png);「ユートの若き&ruby(ヤルル){長};よ、我...
&ref(Freyr01.png);「フィンの王冠がユートに預けられたのは...
&ref(Freyr01.png);「そしてユートが如何にしてフローニに忠...
ビョルンはフィンランド王位の剥奪のみで釈放され、身代金...
この、氏族の絆を重んじる寛大な処置に他の族長達は感動し...
&ref(選挙爆発.png);
帝位継承の選挙はそのフレイが推すインガへの支持が圧倒的...
ビョルンは気も狂わんばかりに悔しがったが、王としての地...
&ref(ビョルン.png);
ケックスホルム大族長・ビョルン。
彼は猜疑的で怨念深い性格から「悪魔憑き」とも呼ばれたとい...
因みに、この叛乱で剥奪された所領には、忠誠心が高く、ゲ...
そのうち、叛乱首謀者・デルグンの所領であったレヴァルに...
&ref(ローンヴァルド.png);
あの残酷王・トティルの長男、ローンヴァルドが封じられ、"...
これは、どうあっても間に合わなかったとはいえ、援軍を打...
**シグルドの背信 [#r5d1a52f]
少々遡って986年の11月中旬、東フランクにブリュンシュヴィ...
&ref(聖戦が?.png);
東フランクの広い版図の占領に時間は掛かりながらも、スウ...
しかし、この頃から年末に掛けて、スウェーデンは何故か急...
この時、スカンジナヴィア帝国はデルグンの乱が起こったば...
スウェーデンに事情の説明を求める遣いは送ったものの、長...
そして叛乱の鎮圧され、事後処理も落ち着きつつあった988年...
&ref(シグルド2世.png);
シグルド2世は反盟主を宣言し、聖戦を放棄していたのである。
余りにも唐突な棄教で、その理由は推測するしかないが、シ...
肉親との骨肉の争いと子供達の死がシグルド2世を絶望させ、...
しかし、この棄教はシグルド2世の個人的なもので、スウェー...
&ref(ラーンフリド.png);
シグルド2世は既に67歳、崩御がいつであってもおかしくはな...
そうして、フローニによる三度目の、「ウプサラを求める戦...
&ref(ウプサラ聖戦.png);
&ref(Freyr01.png);「我が父・カルルの友、ウプサラを預けら...
&ref(Freyr01.png);「如何な故あって盟に背き、あまつさえ氏...
&ref(Sigurd.png);「聖なるフレイよ、お前には解るまい。"&ru...
&ref(Sigurd.png);「お前も、氏族も、盟約も、誰も我が子を守...
&ref(Sigurd.png);「盟約とは神々の加護を盟主座から恵むもの...
&ref(Sigurd.png);「宣言せよ、聖なるフレイ! エーシルとヴ...
&ref(Sigurd.png);「俺は、神々が望む我が子と我が死を、俺の...
&ref(Freyr01.png);「……&ruby(ラグナ){運命};は、&ruby(オー...
&ref(Freyr01.png);「これは聖戦である。エーシルとヴァニル...
&ref(Freyr01.png);「背信者シグルドより、ウプランドを奪還...
……フレイは常駐軍と直轄領の徴集兵のみで軍団を編成し、ウ...
&ref(ハルムスタッドの戦い.png);
そしてこれに勝利。また、6月にはシグルド2世に呼応したの...
&ref(反盟主.png);
余りに遠方である事もあってフレイはこれをスウェーデン戦...
そして、11月……
&ref(シグルドの死.png);
シグルド2世、崩御。
「ウプサラに選ばれた」と言われ、「大王」と讃えられた「...
スウェーデン王位を継承したのはシグルド2世の四男・ビョル...
&ref(ビョルン3世.png);
シグルド2世の4人の息子達の中でも最もできが悪く、愚鈍とい...
フレイはビョルン3世に、改めて盟主座への拝跪を行わせた。
そしてスカンジナヴィアとスウェーデンの和平と友好の証に...
&ref(女系結婚.png);
ハルステンは当時11歳、インガは29歳であったので、18歳も...
これは、嘗て服属戦争によって行われた「二つのフローニの...
**遥かなるモスクワ [#g935d880]
988年末、暴動を鎮圧する為に約6000名の軍団がモスクワへ派...
その余りの距離に、モスクワ到達までに丸一年の行軍が必要...
&ref(もすかう.png);
暴徒はモスクワを完全に占領し、ウラジミールの包囲も進め...
長い行軍で疲労しながらも、トステに率いられた軍団は圧倒...
そんな、990年3月末……
**幕間「呪い」 [#bf408b74]
あらゆる儀式が、あらゆる呪術が、密かに行われた。トティ...
フレイは寝台でその成果を確認し、朦朧とする意識の中で笑...
&ref(Freyr01.png);「ふふ……ふふふ……呪わしく御思いですかな...
フレイの全身は瘡蓋と見紛うほど固化した無数の赤斑で覆わ...
「麻疹」……一人に一度しか罹らず、若齢者の通過儀礼の一つ...
老いたフレイの残り少ない生気を食い散らかす様に、その「...
フレイは、うわ言の様に呟く。
&ref(Freyr01.png);「民にも、父にも、ステンボックのリンダ...
&ref(Freyr01.png);「しかし、インガは……スカンディアの、ノ...
&ref(Freyr01.png);「代わりに、リンダの長子、このフレイが...
&ref(Freyr01.png);「御存分に……晴らされよ………………」
フレイは、インガに降り掛かる筈であったろうそれの身代わ...
そして、笑いながら死んだ。儀式の、呪術の成功を確信した...
しかし、伝染を防ぐ為に覆面をしてそれを見送る神官達と、...
&ref(Inga.png);「…………父上、私は退けてみせます」
&ref(Inga.png);「ノルドを冒すあらゆる災いを……」
&ref(Inga.png);「……そして、『シフの呪い』も…………」
*990年3月29日 盟主フレイ、崩御。 [#h6b56dd5]
&ref(フレイ崩御.png);
最初に述べた通り、7年という長くない治世をフレイは世代交...
史料は聖帝の最期がどの様なものだったかを詳しくは語って...
また、継承選挙だけでなく、先述したローンヴァルドのレヴ...
そして、千年紀の終わりを当に目前として、才華にして美貌...
&ref(地図.png);
スカンジナヴィア帝国の版図には変化が無いので、欧州全体の...
本土からは飛び地となっているので解り難いが、東方に広大な...
なお……
&ref(ビョルン不審死.png);
フレイ崩御の直前に、シグルド2世の死で即位したばかりのビ...
ワインに毒を盛られたと言われているが、彼の王としての才...
|[[AAR/フレイヤの末裔/盟主インガ(前編)]]に続け……!!|
終了行:
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[[AAR/フレイヤの末裔/盟主カルル(完結編)]]
**幕間「白シャツ」 [#lca2b994]
'''「あらゆる危険は必ず不名誉を伴って終わる――死んでしまう...
'''――『キャルネス家のサガ』第8章'''
外套越しにフィンランドの冷気が沁みる。クストーの湿った...
&ref(Hrane01.png);「猊下、この様な辺境までお越しになられ...
&ref(Freyr01.png);「いや、ハイコネンの長よ、良くぞ伝えて...
馬車から降りると、息子と近衛達を従えたフィンランド大族...
とはいえ、フレイに彼らの緊張を解してやっている時間は無...
&ref(Freyr01.png);「いつ頃の事だ」
&ref(Hrane01.png);「はっ、もう四年近くに……&ruby(スネッケ)...
&ref(Freyr01.png);「四年か……随分待たせてしまったものだ、...
&ref(Hrane01.png);「しかし、今も意識があるかどうか……」
砦の内側にホラーネが案内する。行き先はホラーネの邸では...
&ref(Hrane01.png);「幾らかでも安らげる様に急ぎ以て建てさ...
それは確かに大きくは無いが、フィンランドの良質なマツ材...
その前に立つ者がある。仕立ての良い清潔な白シャツを着た...
&ref(Rognvald.png);「猊下に拝謁叶い恐悦至極に存じます」
&ref(Freyr01.png);「君が、ローンヴァルドか」
&ref(Rognvald.png);「はい。畏れながら、平服にて」
跪く彼の手には、一口の剣が握られていた。彼なりの正装と...
&ref(Freyr01.png);「叔母上……エドラ殿は」
&ref(Rognvald.png);「父の傍におります。火を絶やす訳にはい...
&ref(Hrane01.png);「では中に……」
ホラーネが促そうとした時、少年……ローンヴァルドが立ち上...
&ref(Rognvald.png);「それは、罷りなりません。猊下の御来訪...
&ref(Hrane01.png);「何を……!!?」
&ref(Freyr01.png);「……」
ホラーネが咎める。しかし、ローンヴァルドの目に燃えるも...
それが何か、フレイには判った。解っていた。そこで燃えて...
&ref(Rognvald.png);「盟主猊下をホーセンスから、はるばるフ...
&ref(Rognvald.png);「であれば、これ以上の愚弄は控えられた...
余りの言い様にホラーネが泡を吹いて倒れそうな顔になる。...
それは衒いでも何でもなく、フレイの本心から来るもので、...
&ref(Freyr01.png);「……義叔父上の事は、申し訳なく思ってい...
&ref(Rognvald.png);「……馬鹿馬鹿しい。盟主猊下は余りに高く...
ローンヴァルドは全身を戦慄かせ、手の骨が軋む程強く剣を...
「盟主」にではなく、&ruby(アフ・ムンソ){同じ氏族};の血...
&ref(Rognvald.png);「貴方方は『&ruby(フローニ){フレイヤの...
&ref(Rognvald.png);「ブリタニエの&ruby(フュード){宿恨};は...
&ref(Rognvald.png);「それとも、易々と&ruby(サズレイヤル){...
&ref(Rognvald.png);「十分な? 十分でない? 馬鹿にするな...
&ref(Rognvald.png);「我らは"&ruby(ヴィットセルク){白シャ...
&ref(Rognvald.png);「それをユランで暢気にしていた従兄殿が...
フレイはただ瞑目し、ぶつけられる全ての言葉を受け止めて...
&ref(Freyr01.png);「……今年で幾つになる」
&ref(Rognvald.png);「12に」
&ref(Freyr01.png);「そうか……では、まだ戦場を知るまい」
ローンヴァルドの顔がみるみる紅潮する。当然だった。サフ...
「戦知らずの餓鬼が大口を叩いた」と言われたも同然だった...
&ref(Rognvald.png);「だとして何だ……!? ローンヴァルドは...
ローンヴァルドはノルドの若者らしい覇気に満ちていた。フ...
北海を隔てた島国で、百年もの長く、孤独な戦いを続けて来...
&ref(Freyr01.png);「ローンヴァルドをレヴァル族長に封じる...
&ref(Rognvald.png);「な……!?」
&ref(Freyr01.png);「"白シャツ"ハルフダンが斃れたラトガル...
&ref(Freyr01.png);「余はこれで去る……勇者・トティルの息子...
背を向けるフレイに、ローンヴァルドは言葉を探していた。...
しかし、ただ呆けたまま見送るわけにも行かなかった。そう...
&ref(Rognvald.png);「盟主・フレイに、我が父・トティルの予...
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フレイにホラーネが慌てて続く。誰を庇おうとしているのか...
フレイにとって重要なのは、アストリドやローンヴァルド、...
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スカンディアの春は短い。より多くの芽吹きに実を付けさせ...
*盟主フレイ 12.26.983~ [#v10cf898]
&ref(聖帝フレイ.png);
988年、即位から5年後の盟主フレイ。少々臆病な所はあるが、...
盟主、或いは「聖帝」フレイ。前帝カルルが崩御した時点で...
ともかく、フレイはノルドの求める、若く強い指導者とはと...
最初に行ったのはヨムス・ヴァイキングへの寄進である。純...
また、フレイはノルド達によって漠然と「盟約」と呼ばれて...
続けて行ったのは、カルル帝最後の勅令で編成が進められて...
シグルド2世による東フランクへの聖戦はスウェーデン有利に...
更に、フレイが即位して間もなく明けた984年の年始……
&ref(フリジアンライジング.png);
ネヘレニア戦争によって割譲され、スカンジナヴィアから遠...
彼らはノルドやフランクのくびきから、カソリック国家とし...
シグルド2世はこれの迎撃に手を貸す事を約束したが、それで...
そしてそれから4ヶ月……
&ref(ノルドの完全な駆逐.png);
ヨルヴィクの残酷王・トティルは最後の版図であるサフォー...
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トティルは長男・ローンヴァルドと共にフィンランドに落ち...
**暴動による前奏 [#a715d029]
同年6月。
&ref(暴動拡大.png);
ダンツィヒで帝国軍と戦い、その大部分を失いながらもバル...
しかし、彼らは決起して間もなく、即座に鎮圧される。
&ref(グライフスヴァルトの戦い.png); &ref(ストラルスンド...
彼らが集結したグライフスヴァルトに、丁度ヨムス・ヴァイ...
この軍団はスカンジナヴィア帝の徴集兵ではなく、帝国軍本...
ともかく、この戦いでカソリックの暴動は大きく勢いを失い...
&ref(イツェホーの戦い.png); &ref(イツェホーの戦い2.png);
同年11月。スカンジナヴィア軍・約10000名が、ホルステンに...
中央部隊が壊走するも、未だ現役で武勇を誇るトステ率いる...
翌年1月にはカソリックの暴動も完全に鎮圧され、フリギア暴...
その前後に、一つの事件が起こる。
&ref(変死.png);
フレイヤとバグセクの時代からフローニに忠労を尽くして来...
フィンランド王位は相続法が改められる前にアヌンドルに与...
ビョルンは「これはフレイ帝による暗殺である」と主張、一...
真相は今もって不明だが、野心的な息子による親殺しという...
しかし、ビョルンの主張の方も全く無根拠のものでもなかっ...
&ref(選挙.png);
前稿でも解説した通り、この相続法に於いては「優れたノル...
フレイは当然、長女・インガを指名し、彼女を宮廷預言者に...
つまり、強力な対抗馬であるアヌンドルを恐れての暗殺だと...
相次いだ暴動の鎮圧で消耗した帝軍。そしてアヌンドル王の...
この二つが重なった事が、更なる事態をスカンジナヴィアに...
**余談・グリーンランド植民 [#zbdf258f]
985年5月。嘗てグンビョルンによって偶然に発見された未知...
それを扇動したのは、殺人の罪で平和喪失刑に処された「赤...
&ref(グリーンランド.png);
グリーンランドがその名に反して、氷河と万年雪とツンドラ...
何れにせよ、ヴァイキング達の飽くなき冒険心はこうして欧...
**デルグンの乱 [#x5a0ff98]
986年9月下旬。
戦費と兵力の回復の為、未だスウェーデンが「聖戦」を戦う...
&ref(Dergun.png);「偉大なる&ruby(フィルキル){盟主};・カル...
&ref(Dergun.png);「しかし、カルルは帝王としてただ一つ、行...
&ref(Dergun.png);「"&ruby(ヘイムスヴェルディ・オー・ノル...
&ref(Dergun.png);「このデルグンは&ruby(エースティー){エス...
&ref(Dergun.png);「盟主フレイよ! 天と地の威を違えず、我...
&ref(Freyr01.png);「愚かなりデルグン。親殺しのビョルンに...
&ref(Freyr01.png);「ノルドとは今やスカジの地を故郷とする...
エストニア西部、レヴァルの族長・デルグンが、独立を求め...
ビョルンがどの段階で独立派に盟していたのかは不明だが、...
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こうしてスカンジナヴィアを東西に割った、「デルグンの乱...
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スコーネ族長に導かれたフィン人とスラヴ人の各軍勢はユラ...
しかし、その中にフレイの姿は無く、それどころか衛兵以外...
&ref(Totil.png);「いっひっひっひ、身内とやれる機会なんて...
&ref(Totil.png);「どうせならお互い、派手にやろうや!! ...
それはビョルンと同じユート氏族の大族長であり帝軍元帥で...
ホーセンスを囮にして叛乱軍が集結するのをブレーメンとハ...
987年11月……帝軍・約7000名と叛乱軍・約6000名は、ランダー...
&ref(ランダースの戦い.png); &ref(マルヤカ捕縛.png);
西進で疲労した叛乱軍を、体力を温存していた帝軍が圧倒、...
追撃戦は翌年の2月まで続けられたが、最終的には叛乱軍は崩...
彼らは所領を取り上げられ、多くは身代金と引き換えに釈放...
&ref(Freyr01.png);「ユートの若き&ruby(ヤルル){長};よ、我...
&ref(Freyr01.png);「フィンの王冠がユートに預けられたのは...
&ref(Freyr01.png);「そしてユートが如何にしてフローニに忠...
ビョルンはフィンランド王位の剥奪のみで釈放され、身代金...
この、氏族の絆を重んじる寛大な処置に他の族長達は感動し...
&ref(選挙爆発.png);
帝位継承の選挙はそのフレイが推すインガへの支持が圧倒的...
ビョルンは気も狂わんばかりに悔しがったが、王としての地...
&ref(ビョルン.png);
ケックスホルム大族長・ビョルン。
彼は猜疑的で怨念深い性格から「悪魔憑き」とも呼ばれたとい...
因みに、この叛乱で剥奪された所領には、忠誠心が高く、ゲ...
そのうち、叛乱首謀者・デルグンの所領であったレヴァルに...
&ref(ローンヴァルド.png);
あの残酷王・トティルの長男、ローンヴァルドが封じられ、"...
これは、どうあっても間に合わなかったとはいえ、援軍を打...
**シグルドの背信 [#r5d1a52f]
少々遡って986年の11月中旬、東フランクにブリュンシュヴィ...
&ref(聖戦が?.png);
東フランクの広い版図の占領に時間は掛かりながらも、スウ...
しかし、この頃から年末に掛けて、スウェーデンは何故か急...
この時、スカンジナヴィア帝国はデルグンの乱が起こったば...
スウェーデンに事情の説明を求める遣いは送ったものの、長...
そして叛乱の鎮圧され、事後処理も落ち着きつつあった988年...
&ref(シグルド2世.png);
シグルド2世は反盟主を宣言し、聖戦を放棄していたのである。
余りにも唐突な棄教で、その理由は推測するしかないが、シ...
肉親との骨肉の争いと子供達の死がシグルド2世を絶望させ、...
しかし、この棄教はシグルド2世の個人的なもので、スウェー...
&ref(ラーンフリド.png);
シグルド2世は既に67歳、崩御がいつであってもおかしくはな...
そうして、フローニによる三度目の、「ウプサラを求める戦...
&ref(ウプサラ聖戦.png);
&ref(Freyr01.png);「我が父・カルルの友、ウプサラを預けら...
&ref(Freyr01.png);「如何な故あって盟に背き、あまつさえ氏...
&ref(Sigurd.png);「聖なるフレイよ、お前には解るまい。"&ru...
&ref(Sigurd.png);「お前も、氏族も、盟約も、誰も我が子を守...
&ref(Sigurd.png);「盟約とは神々の加護を盟主座から恵むもの...
&ref(Sigurd.png);「宣言せよ、聖なるフレイ! エーシルとヴ...
&ref(Sigurd.png);「俺は、神々が望む我が子と我が死を、俺の...
&ref(Freyr01.png);「……&ruby(ラグナ){運命};は、&ruby(オー...
&ref(Freyr01.png);「これは聖戦である。エーシルとヴァニル...
&ref(Freyr01.png);「背信者シグルドより、ウプランドを奪還...
……フレイは常駐軍と直轄領の徴集兵のみで軍団を編成し、ウ...
&ref(ハルムスタッドの戦い.png);
そしてこれに勝利。また、6月にはシグルド2世に呼応したの...
&ref(反盟主.png);
余りに遠方である事もあってフレイはこれをスウェーデン戦...
そして、11月……
&ref(シグルドの死.png);
シグルド2世、崩御。
「ウプサラに選ばれた」と言われ、「大王」と讃えられた「...
スウェーデン王位を継承したのはシグルド2世の四男・ビョル...
&ref(ビョルン3世.png);
シグルド2世の4人の息子達の中でも最もできが悪く、愚鈍とい...
フレイはビョルン3世に、改めて盟主座への拝跪を行わせた。
そしてスカンジナヴィアとスウェーデンの和平と友好の証に...
&ref(女系結婚.png);
ハルステンは当時11歳、インガは29歳であったので、18歳も...
これは、嘗て服属戦争によって行われた「二つのフローニの...
**遥かなるモスクワ [#g935d880]
988年末、暴動を鎮圧する為に約6000名の軍団がモスクワへ派...
その余りの距離に、モスクワ到達までに丸一年の行軍が必要...
&ref(もすかう.png);
暴徒はモスクワを完全に占領し、ウラジミールの包囲も進め...
長い行軍で疲労しながらも、トステに率いられた軍団は圧倒...
そんな、990年3月末……
**幕間「呪い」 [#bf408b74]
あらゆる儀式が、あらゆる呪術が、密かに行われた。トティ...
フレイは寝台でその成果を確認し、朦朧とする意識の中で笑...
&ref(Freyr01.png);「ふふ……ふふふ……呪わしく御思いですかな...
フレイの全身は瘡蓋と見紛うほど固化した無数の赤斑で覆わ...
「麻疹」……一人に一度しか罹らず、若齢者の通過儀礼の一つ...
老いたフレイの残り少ない生気を食い散らかす様に、その「...
フレイは、うわ言の様に呟く。
&ref(Freyr01.png);「民にも、父にも、ステンボックのリンダ...
&ref(Freyr01.png);「しかし、インガは……スカンディアの、ノ...
&ref(Freyr01.png);「代わりに、リンダの長子、このフレイが...
&ref(Freyr01.png);「御存分に……晴らされよ………………」
フレイは、インガに降り掛かる筈であったろうそれの身代わ...
そして、笑いながら死んだ。儀式の、呪術の成功を確信した...
しかし、伝染を防ぐ為に覆面をしてそれを見送る神官達と、...
&ref(Inga.png);「…………父上、私は退けてみせます」
&ref(Inga.png);「ノルドを冒すあらゆる災いを……」
&ref(Inga.png);「……そして、『シフの呪い』も…………」
*990年3月29日 盟主フレイ、崩御。 [#h6b56dd5]
&ref(フレイ崩御.png);
最初に述べた通り、7年という長くない治世をフレイは世代交...
史料は聖帝の最期がどの様なものだったかを詳しくは語って...
また、継承選挙だけでなく、先述したローンヴァルドのレヴ...
そして、千年紀の終わりを当に目前として、才華にして美貌...
&ref(地図.png);
スカンジナヴィア帝国の版図には変化が無いので、欧州全体の...
本土からは飛び地となっているので解り難いが、東方に広大な...
なお……
&ref(ビョルン不審死.png);
フレイ崩御の直前に、シグルド2世の死で即位したばかりのビ...
ワインに毒を盛られたと言われているが、彼の王としての才...
|[[AAR/フレイヤの末裔/盟主インガ(前編)]]に続け……!!|
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