AAR/フレイヤの末裔/盟主インガ(後編)
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[[AAR/フレイヤの末裔]]
[[AAR/フレイヤの末裔/盟主インガ(前編)]]
**幕間「不安」 [#ed99e994]
'''そのヴァルキュリアは自分の賢さを恃み、鳥の言葉を知る...
'''彼女は突き出た岩に座り、白い咽喉と耀く瞳とで、ユミル...
'''「ねえ鴉さん、どうしてこんな朝に貴方の嘴は血に濡れて...
'''破れた肉片も爪に引っかかっているし、口からは死臭が漂...
'''まさか一晩中、どこかで何かを殺していたわけではないの...
'''――スカルド詩『大鴉の歌』'''
&ref(Halsten.png);「あれは大樅の木。ユランだけじゃなくて...
&ref(Halsten.png);「枝に止まってるのは&ruby(ホラーフン){...
&ref(Halsten.png);「あ、飛んで行った……オーディン様にギュ...
&ref(Gyrid.png);「あーー……」
ホーセンスの庭園。暖かな陽気の中、ハルステンは我が子・...
&ref(Inga.png);「…………」
インガは数歩離れてはいるが、二人に続いている。しかし、...
インガとて、二人の様子を微笑ましくは思っていた。しかし……
&ref(Halsten.png);「またヘルギの事を考えているのかい?」
気が付くと、ハルステンは歩みを止めて、インガに微笑みか...
&ref(Inga.png);「ハルステン……そうね、ごめんなさい。こんな...
インガの頭の中は選挙相続法の事で一杯だった。インガは次...
&ref(Halsten.png);「僕は大丈夫さ。それに、僕はヘルギの事...
&ref(Inga.png);「私だってそうだけど……」
ヘルギは族長達に慕われているし、よく連繋を取ってフィン...
しかし、重要なのはそれよりも根本的な事だった。
&ref(Halsten.png);「それに、インガだって何も今日明日倒れ...
&ref(Halsten.png);「だったら、僕より長生きしてもおかしく...
そう言って、ハルステンは笑った。木漏れ日を受けて眩しい...
&ref(Inga.png);「ねえ、ハルステン……」
&ref(Halsten.png);「ん?」
&ref(Inga.png);「いなく、ならないわよね」
&ref(Halsten.png);「ならないさ。自慢じゃないけれど、イン...
&ref(Inga.png);「…………」
ハルステンは腕を組んで、もう一度笑った。インガの不安は...
&ref(Gyrid.png);「あ、うー、あー」
しゃがみ込んで棒で虫を突いていたギュリドが立ち上がって...
「吉兆ですな」
と、近衛の一人が言った。インガも、それを信じようと考え...
*盟主インガ(後編) 1.3.999~ [#b866a343]
&ref(ゲルレ聖戦.png);
中フランクは殆ど抵抗らしい抵抗もできず、ゲルレは征服さ...
時は千年紀末、ノルドという『神罰』によるカソリック世界...
&ref(難産.png);
そして999年3月29日、インガとハルステンに、ついに第一子...
生まれた娘はインガと同じく聡明で知られた母・ギュリドの...
&ref(終戦.png);
その8月、クロターレ不徳王はまたもノルドに降伏。スウェー...
軍団は本土に引き上げて解散され、残った常駐軍は再びデン...
&ref(選挙.png); &ref(ヘルギ.png);
1000年10月頃の選挙状況と、インガの弟であるフィンランド王...
フィンランドを継承している実弟・ヘルギ王を相手に苦戦を...
インガもこの時点ではそれをそう悪くは考えていなかったと...
しかし、インガはそれだけでは納得いかなかった所もあった...
&ref(Inga.png);「選挙による相続は、即ち全ての&ruby(ヤルル...
インガは&ruby(シング){民会};でその様に発言し、族長達に...
**ロシア再編・アストリドとの絆 [#rc5a462e]
この頃に前後して、インガはホルムガルド以南・以東の族長...
&ref(アストリド.png); &ref(アストリド領地.png);
ホルムガルド大族長・アストリドとその領地(ホルムガルド=...
前稿で書いたアストリドのベロ・オゼロ聖戦は失敗したのだ...
二人の信頼を示す話はもう一つある。アストリドはフィンラ...
インガとアストリド、二人の絆は生涯堅く、アストリドはイ...
**新たな千年紀の始まり [#k33e4262]
千年紀の終わりは静かなものだった。キリスト教徒が言い伝...
&ref(ブリソニア.png);
オークノーで起こった小規模な反乱を鎮圧に向かう常備軍の図。
アルバ=ブリソニア((ウェールズ人はウェールズを「ブリソ...
&ref(地獄.png);
西フランクが内乱期に突入していた事くらいである。
&ref(ギーグ2世.png);
西フランク王・ギーグ2世。社交的だが、臆病で好色、且つ嫉...
吃音症を患っていたとも伝えられているが、この頃のカロリン...
993年に"聖王"カルロマン3世が崩御した事で、ギーグ2世は9...
これを好機と見たのはフランク世界でも指折りの名門である...
&ref(ロベール・カペー.png);
ベリー公爵、ロベール・カペー。勇敢で傲慢な大人物然とした...
ロベールは入念な根回しで国内諸侯の半分を巻き込んだ大派...
&ref(ギョーム.png);
未成年の王妹・アデーレを擁立して王権の更なる弱化を目指す...
&ref(グドルン.png);
ブルゴーニュの東フランク復帰を要求する上ブルゴーニュ女公...
この内乱「ロベールの乱」は叛乱軍の力が王軍と拮抗してい...
&ref(ヴィンランド・サガ.png);
加えれば、"赤毛の"エイリクの息子、"幸運なる"レイフが、...
帰還したレイフは葡萄や木材を持ち帰り、それに感動した彼...
しかし、この豊かな新天地を我が物とする計画はノルド達に...
**第二次・ハンマブルクの挑戦 [#r226c5e3]
&ref(集権.png);
1003年1月11日、スカンジナヴィア民会は皇帝の中央集権強化...
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&ref(Inga.png);「我らを北の果てに閉め出し、古き信仰を忘れ...
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&ref(Inga.png);「これはその証明だ。これは盟約の正しさを示...
&ref(Inga.png);「新たな千年紀を悲鳴で彩れ。今、&ruby(フィ...
&ref(ホルステン.png);
ホルステンを求める聖戦の宣言である。
ハンマブルクという防波堤を無くせばノルドの軍勢はいよい...
&ref(マリア.png);
東フランク女王・マリア。類稀な政務能力で諸侯を統率し、東...
同時期を生きた才女としてインガと比較される事も多いが、イ...
宣戦を受けた東フランク女王・マリアは直ぐ様西フランク王...
バイエルンでモイミル朝に王権縮小を求める叛乱軍の頭目で...
「盟約」の下に巨大な一軍を為すノルド世界と、互いの足を...
マリアは繰り返された略奪に日々悩まされていたが、この事...
そして……
&ref(アルトナの戦い.png); &ref(ハンブルク攻囲戦.png); &...
アルトナ会戦、ラッセボルグ会戦で主力をほぼ喪失した後、...
インガの宣言通り、カール大帝がノルドとの間に築いた結界...
そしてこれは同時に、スカンジナヴィア帝国の全&ruby(デジ...
**美貌の姉・天才の妹 [#g1cc636f]
終戦の半年程前、1004年の4月。インガとハルステンにはなん...
&ref(アルフリド.png);
このアルフリドは生まれて1年もせずにルーン文字を読む様に...
しかし一方で、この時五歳になっていたギュリドはというと……
&ref(ギュリド.png);
母に似て美しく育ってはいたが、未だ喃語以上の言葉を発す...
それにしても、何とも対照的な二人である。
**急死 [#q2dc98a1]
1004年。この頃、中フランクでは小規模な反乱が起こってい...
&ref(ホロズルフ.png);
反乱の首謀者・ホロズルフは、一説にはオランダ伯領の創始者...
ゲロルフはオランダ人であるが、この時期のオランダにはノル...
この事から、ゲロルフ家はカソリックでありながら伝統的にノ...
野心的なカソリック・ノルドであるオランダ大族長((上記の...
この反乱の始まりにはスカンジナヴィアが間接的に、しかし...
9世紀のイタリア=中フランク王・ロタール2世は907年にバイ...
&ref(ロレーヌ.png);
999年のロレーヌ。中フランク内の飛び地でありながらイタリ...
そしてこの時代、ジェローの孫であるイタリア王・オトン2世...
度重なるスカンジナヴィアの攻撃が、ついに中フランクの国...
所で、ホロズルフは「フランク人に最早ユトレヒトを守護す...
その12月。つまりホルステン聖戦が終わった2ヵ月後。
&ref(無情.png);
スウェーデンは中フランクの反乱勢力にオランダ領を求める...
そうというのも、1005年6月中旬……
&ref(急死.png);
ハルステン王、急死。27歳という余りに若い死であった。栄...
これにショックを受けたのはインガである。とりあえずウプ...
インガの決意が固まったのはこの時だっただろう。
**一つの盟約、一つの氏族 [#x61d8ff3]
&ref(終戦22.png);
1006年9月、オランダ聖戦が終戦。オランダ伯領を除くオラン...
そして1006年、10月。
&ref(Inga.png);「我が夫、盟主座を継ぐべき勇敢なるスヴィド...
&ref(Inga.png);「我が&ruby(ヤルル){族長};らには、何ら問う...
&ref(Inga.png);「我ら『&ruby(フローニ){フレイヤの末裔};』...
&ref(Inga.png);「&ruby(ガムラ){古き};ウプサラの嘗てを見よ...
&ref(Inga.png);「そしてその度に、野心を剥き出しにして、隙...
&ref(Inga.png);「インガはその連鎖を断ち切ろう。&ruby(フィ...
&ref(Inga.png);「盟主座と帝冠は我が氏族の長が常しえに継承...
インガは国内の族長達が何れも戦争状態にない事を確認し、&...
&ref(長子相続.png);
盟主座とスカンジナヴィア帝冠、そしてデンマーク王冠の長...
**幕間「言葉」 [#vfad97f1]
&ref(Inga.png);「スクルドを呼びなさい」
閉会後に意識を失ったインガは寝室に運ばれ、昏睡状態が九...
その九日間は家臣達に大きな無力感を強いた。インガの病班...
あらゆる治療師が、神官が、呪術師が手を尽くしたが、それ...
&ref(Skuld.png);「&ruby(ヘリグ){猊下};……ナッドオオアのス...
感染を防ぐ為に覆面をしているが、彼女の顔は蒼白に染まっ...
数名の顧問団のみを立ち合わせて、インガは、淡々と命じる。
&ref(Inga.png);「ギュリドとアルフリドを預けます。&ruby(フ...
&ref(Skuld.png);「畏まりました……」
&ref(Inga.png);「摂政はハルステンの指名のまま、ヘーデ氏族...
&ref(Skuld.png);「はい……」
&ref(Inga.png);「ヘルギは来ているの?」
&ref(Skuld.png);「それが……一度見舞われた後には急いでクス...
スクルドの歯切れが悪くなる。インガはそれで弟がどこに向...
&ref(Inga.png);「&ruby(マエレ大寺院){ノルウェー};かしら?」
&ref(Skuld.png);「も、申し訳ありません! &ruby(ゴディ){...
つまり、インガは死ぬものと看做して戴冠式の準備を始めた...
&ref(Inga.png);「……あいつらしいわ」
インガは余りにも予想通りの行動に出た弟を苦々しく思う。...
&ref(Inga.png);「それじゃあ、そろそろ死ぬわ。まだする事が...
&ref(Inga.png);「&ruby(ヘルヘイム){地獄};はきっと……遠いだ...
&ref(Skuld.png);「&ruby(ヘリグ){猊下};……? &ruby(ヘリグ)...
溜息を一つ残して、インガは眠る様に魂を手放した。その夜。
&ref(Gyrid2.png);「お、か、あ……さ、……ま……?」
&ref(Gyrid2.png);「あ、う、ああ、あ……」
&ref(Gyrid2.png);「あああああああああああああああああああ...
火の間で玉座に縋り、咽喉も破れんばかりに慟哭するギュリ...
*1006年10月17日 盟主インガ、崩御。 [#na654e46]
&ref(崩御.png);
『シフの呪い』は癒える事なく、無情にもインガの命を奪っ...
しかし、王権の拡大、中央集権、新たな税制、&ruby(デジュ...
そして余りにも幼い&ruby(フィルクヤ){盟主};・ギュリドが...
ノルウェーとポメラニア、二つの王号がインガの弟・ヘルギ...
誰もの予想した通り、彼女の治世は混沌で始まる。そして、...
&ref(地図2.png);
インガ崩御時点の欧州地図。スカンジナヴィア帝国が統一され...
因みに、クマン草原に広大な版図を有していたアールパード朝...
|[[AAR/フレイヤの末裔/盟主ギュリド(前編)]]に続く。|
**幕外「母親」 [#ib04c0e2]
&ref(Inga.png);「……会いたかったわ、お祖母様」
&ref(Sif.png);「イン……ガ…………、カルルの……孫…………」
&ref(Inga.png);「憎いのね、フローニが。カルルが」
&ref(Sif.png);「…………憎イ……! 憎い、憎イ、憎いイイイ!!...
&ref(Inga.png);「そう……だから……」
&ref(Sif.png);「死シテ尚カルルに愛さレたリンダが……! 寵...
&ref(Inga.png);「だから…………殺したの?」
&ref(Sif.png);「スカンディアに、カルルの帝国に……、呪イア...
&ref(Sif.png);「フローニは悉ク、地獄に堕ちヨオオオオおお...
&ref(Inga.png);「そう……じゃあ、堕ちてあげるわ」
&ref(Inga.png);「貴女と一緒にね」
&ref(Sif.png);「……!?」
&ref(Inga.png);「今なら貴女の気持ちが解るわ。この野蛮な時...
&ref(Inga.png);「でも……ハルステンを喪った私が、子供達に何...
&ref(Inga.png);「何かを遺したいっていう母親の気持ちが、私...
&ref(Inga.png);「私は帝冠を娘に遺せたけれど、その引き換え...
&ref(Inga.png);「感染させるわけにはいかないから、子供達に...
&ref(Inga.png);「だから一緒に、地獄に堕ちましょう。私と常...
&ref(Sif.png);「や、ヤメろ……! やメロオオお!!」
&ref(Inga.png);「馬鹿ね……私は&ruby(フローニ){フレイヤの末...
&ref(Sif.png);「ワ、解っタ!! 呪うノはやメル! 大人シ...
&ref(Inga.png);「嫌よ」
&ref(Inga.png);「だって貴女、ハルステンまで殺したでしょう...
そういえば昔、お祖父様が言っていた。曽お祖父様は自分も...
私はこうして自分でシフを地獄に引き摺りながら、「もしか...
だったらもしかすれば、地獄の方が居心地の良い場所かも知...
&ref(Sif.png);「ヒィイイイイイイイイイイイイイイイイ」
特に……こいつの悲鳴を聴きながら過ごすなら。
終了行:
[[AAR/フレイヤの末裔]]
[[AAR/フレイヤの末裔/盟主インガ(前編)]]
**幕間「不安」 [#ed99e994]
'''そのヴァルキュリアは自分の賢さを恃み、鳥の言葉を知る...
'''彼女は突き出た岩に座り、白い咽喉と耀く瞳とで、ユミル...
'''「ねえ鴉さん、どうしてこんな朝に貴方の嘴は血に濡れて...
'''破れた肉片も爪に引っかかっているし、口からは死臭が漂...
'''まさか一晩中、どこかで何かを殺していたわけではないの...
'''――スカルド詩『大鴉の歌』'''
&ref(Halsten.png);「あれは大樅の木。ユランだけじゃなくて...
&ref(Halsten.png);「枝に止まってるのは&ruby(ホラーフン){...
&ref(Halsten.png);「あ、飛んで行った……オーディン様にギュ...
&ref(Gyrid.png);「あーー……」
ホーセンスの庭園。暖かな陽気の中、ハルステンは我が子・...
&ref(Inga.png);「…………」
インガは数歩離れてはいるが、二人に続いている。しかし、...
インガとて、二人の様子を微笑ましくは思っていた。しかし……
&ref(Halsten.png);「またヘルギの事を考えているのかい?」
気が付くと、ハルステンは歩みを止めて、インガに微笑みか...
&ref(Inga.png);「ハルステン……そうね、ごめんなさい。こんな...
インガの頭の中は選挙相続法の事で一杯だった。インガは次...
&ref(Halsten.png);「僕は大丈夫さ。それに、僕はヘルギの事...
&ref(Inga.png);「私だってそうだけど……」
ヘルギは族長達に慕われているし、よく連繋を取ってフィン...
しかし、重要なのはそれよりも根本的な事だった。
&ref(Halsten.png);「それに、インガだって何も今日明日倒れ...
&ref(Halsten.png);「だったら、僕より長生きしてもおかしく...
そう言って、ハルステンは笑った。木漏れ日を受けて眩しい...
&ref(Inga.png);「ねえ、ハルステン……」
&ref(Halsten.png);「ん?」
&ref(Inga.png);「いなく、ならないわよね」
&ref(Halsten.png);「ならないさ。自慢じゃないけれど、イン...
&ref(Inga.png);「…………」
ハルステンは腕を組んで、もう一度笑った。インガの不安は...
&ref(Gyrid.png);「あ、うー、あー」
しゃがみ込んで棒で虫を突いていたギュリドが立ち上がって...
「吉兆ですな」
と、近衛の一人が言った。インガも、それを信じようと考え...
*盟主インガ(後編) 1.3.999~ [#b866a343]
&ref(ゲルレ聖戦.png);
中フランクは殆ど抵抗らしい抵抗もできず、ゲルレは征服さ...
時は千年紀末、ノルドという『神罰』によるカソリック世界...
&ref(難産.png);
そして999年3月29日、インガとハルステンに、ついに第一子...
生まれた娘はインガと同じく聡明で知られた母・ギュリドの...
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その8月、クロターレ不徳王はまたもノルドに降伏。スウェー...
軍団は本土に引き上げて解散され、残った常駐軍は再びデン...
&ref(選挙.png); &ref(ヘルギ.png);
1000年10月頃の選挙状況と、インガの弟であるフィンランド王...
フィンランドを継承している実弟・ヘルギ王を相手に苦戦を...
インガもこの時点ではそれをそう悪くは考えていなかったと...
しかし、インガはそれだけでは納得いかなかった所もあった...
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**ロシア再編・アストリドとの絆 [#rc5a462e]
この頃に前後して、インガはホルムガルド以南・以東の族長...
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ホルムガルド大族長・アストリドとその領地(ホルムガルド=...
前稿で書いたアストリドのベロ・オゼロ聖戦は失敗したのだ...
二人の信頼を示す話はもう一つある。アストリドはフィンラ...
インガとアストリド、二人の絆は生涯堅く、アストリドはイ...
**新たな千年紀の始まり [#k33e4262]
千年紀の終わりは静かなものだった。キリスト教徒が言い伝...
&ref(ブリソニア.png);
オークノーで起こった小規模な反乱を鎮圧に向かう常備軍の図。
アルバ=ブリソニア((ウェールズ人はウェールズを「ブリソ...
&ref(地獄.png);
西フランクが内乱期に突入していた事くらいである。
&ref(ギーグ2世.png);
西フランク王・ギーグ2世。社交的だが、臆病で好色、且つ嫉...
吃音症を患っていたとも伝えられているが、この頃のカロリン...
993年に"聖王"カルロマン3世が崩御した事で、ギーグ2世は9...
これを好機と見たのはフランク世界でも指折りの名門である...
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ベリー公爵、ロベール・カペー。勇敢で傲慢な大人物然とした...
ロベールは入念な根回しで国内諸侯の半分を巻き込んだ大派...
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未成年の王妹・アデーレを擁立して王権の更なる弱化を目指す...
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ブルゴーニュの東フランク復帰を要求する上ブルゴーニュ女公...
この内乱「ロベールの乱」は叛乱軍の力が王軍と拮抗してい...
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加えれば、"赤毛の"エイリクの息子、"幸運なる"レイフが、...
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**第二次・ハンマブルクの挑戦 [#r226c5e3]
&ref(集権.png);
1003年1月11日、スカンジナヴィア民会は皇帝の中央集権強化...
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&ref(Inga.png);「我らを北の果てに閉め出し、古き信仰を忘れ...
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ハンマブルクという防波堤を無くせばノルドの軍勢はいよい...
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東フランク女王・マリア。類稀な政務能力で諸侯を統率し、東...
同時期を生きた才女としてインガと比較される事も多いが、イ...
宣戦を受けた東フランク女王・マリアは直ぐ様西フランク王...
バイエルンでモイミル朝に王権縮小を求める叛乱軍の頭目で...
「盟約」の下に巨大な一軍を為すノルド世界と、互いの足を...
マリアは繰り返された略奪に日々悩まされていたが、この事...
そして……
&ref(アルトナの戦い.png); &ref(ハンブルク攻囲戦.png); &...
アルトナ会戦、ラッセボルグ会戦で主力をほぼ喪失した後、...
インガの宣言通り、カール大帝がノルドとの間に築いた結界...
そしてこれは同時に、スカンジナヴィア帝国の全&ruby(デジ...
**美貌の姉・天才の妹 [#g1cc636f]
終戦の半年程前、1004年の4月。インガとハルステンにはなん...
&ref(アルフリド.png);
このアルフリドは生まれて1年もせずにルーン文字を読む様に...
しかし一方で、この時五歳になっていたギュリドはというと……
&ref(ギュリド.png);
母に似て美しく育ってはいたが、未だ喃語以上の言葉を発す...
それにしても、何とも対照的な二人である。
**急死 [#q2dc98a1]
1004年。この頃、中フランクでは小規模な反乱が起こってい...
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反乱の首謀者・ホロズルフは、一説にはオランダ伯領の創始者...
ゲロルフはオランダ人であるが、この時期のオランダにはノル...
この事から、ゲロルフ家はカソリックでありながら伝統的にノ...
野心的なカソリック・ノルドであるオランダ大族長((上記の...
この反乱の始まりにはスカンジナヴィアが間接的に、しかし...
9世紀のイタリア=中フランク王・ロタール2世は907年にバイ...
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999年のロレーヌ。中フランク内の飛び地でありながらイタリ...
そしてこの時代、ジェローの孫であるイタリア王・オトン2世...
度重なるスカンジナヴィアの攻撃が、ついに中フランクの国...
所で、ホロズルフは「フランク人に最早ユトレヒトを守護す...
その12月。つまりホルステン聖戦が終わった2ヵ月後。
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スウェーデンは中フランクの反乱勢力にオランダ領を求める...
そうというのも、1005年6月中旬……
&ref(急死.png);
ハルステン王、急死。27歳という余りに若い死であった。栄...
これにショックを受けたのはインガである。とりあえずウプ...
インガの決意が固まったのはこの時だっただろう。
**一つの盟約、一つの氏族 [#x61d8ff3]
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1006年9月、オランダ聖戦が終戦。オランダ伯領を除くオラン...
そして1006年、10月。
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&ref(Inga.png);「盟主座と帝冠は我が氏族の長が常しえに継承...
インガは国内の族長達が何れも戦争状態にない事を確認し、&...
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盟主座とスカンジナヴィア帝冠、そしてデンマーク王冠の長...
**幕間「言葉」 [#vfad97f1]
&ref(Inga.png);「スクルドを呼びなさい」
閉会後に意識を失ったインガは寝室に運ばれ、昏睡状態が九...
その九日間は家臣達に大きな無力感を強いた。インガの病班...
あらゆる治療師が、神官が、呪術師が手を尽くしたが、それ...
&ref(Skuld.png);「&ruby(ヘリグ){猊下};……ナッドオオアのス...
感染を防ぐ為に覆面をしているが、彼女の顔は蒼白に染まっ...
数名の顧問団のみを立ち合わせて、インガは、淡々と命じる。
&ref(Inga.png);「ギュリドとアルフリドを預けます。&ruby(フ...
&ref(Skuld.png);「畏まりました……」
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&ref(Inga.png);「ヘルギは来ているの?」
&ref(Skuld.png);「それが……一度見舞われた後には急いでクス...
スクルドの歯切れが悪くなる。インガはそれで弟がどこに向...
&ref(Inga.png);「&ruby(マエレ大寺院){ノルウェー};かしら?」
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つまり、インガは死ぬものと看做して戴冠式の準備を始めた...
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インガは余りにも予想通りの行動に出た弟を苦々しく思う。...
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&ref(Inga.png);「&ruby(ヘルヘイム){地獄};はきっと……遠いだ...
&ref(Skuld.png);「&ruby(ヘリグ){猊下};……? &ruby(ヘリグ)...
溜息を一つ残して、インガは眠る様に魂を手放した。その夜。
&ref(Gyrid2.png);「お、か、あ……さ、……ま……?」
&ref(Gyrid2.png);「あ、う、ああ、あ……」
&ref(Gyrid2.png);「あああああああああああああああああああ...
火の間で玉座に縋り、咽喉も破れんばかりに慟哭するギュリ...
*1006年10月17日 盟主インガ、崩御。 [#na654e46]
&ref(崩御.png);
『シフの呪い』は癒える事なく、無情にもインガの命を奪っ...
しかし、王権の拡大、中央集権、新たな税制、&ruby(デジュ...
そして余りにも幼い&ruby(フィルクヤ){盟主};・ギュリドが...
ノルウェーとポメラニア、二つの王号がインガの弟・ヘルギ...
誰もの予想した通り、彼女の治世は混沌で始まる。そして、...
&ref(地図2.png);
インガ崩御時点の欧州地図。スカンジナヴィア帝国が統一され...
因みに、クマン草原に広大な版図を有していたアールパード朝...
|[[AAR/フレイヤの末裔/盟主ギュリド(前編)]]に続く。|
**幕外「母親」 [#ib04c0e2]
&ref(Inga.png);「……会いたかったわ、お祖母様」
&ref(Sif.png);「イン……ガ…………、カルルの……孫…………」
&ref(Inga.png);「憎いのね、フローニが。カルルが」
&ref(Sif.png);「…………憎イ……! 憎い、憎イ、憎いイイイ!!...
&ref(Inga.png);「そう……だから……」
&ref(Sif.png);「死シテ尚カルルに愛さレたリンダが……! 寵...
&ref(Inga.png);「だから…………殺したの?」
&ref(Sif.png);「スカンディアに、カルルの帝国に……、呪イア...
&ref(Sif.png);「フローニは悉ク、地獄に堕ちヨオオオオおお...
&ref(Inga.png);「そう……じゃあ、堕ちてあげるわ」
&ref(Inga.png);「貴女と一緒にね」
&ref(Sif.png);「……!?」
&ref(Inga.png);「今なら貴女の気持ちが解るわ。この野蛮な時...
&ref(Inga.png);「でも……ハルステンを喪った私が、子供達に何...
&ref(Inga.png);「何かを遺したいっていう母親の気持ちが、私...
&ref(Inga.png);「私は帝冠を娘に遺せたけれど、その引き換え...
&ref(Inga.png);「感染させるわけにはいかないから、子供達に...
&ref(Inga.png);「だから一緒に、地獄に堕ちましょう。私と常...
&ref(Sif.png);「や、ヤメろ……! やメロオオお!!」
&ref(Inga.png);「馬鹿ね……私は&ruby(フローニ){フレイヤの末...
&ref(Sif.png);「ワ、解っタ!! 呪うノはやメル! 大人シ...
&ref(Inga.png);「嫌よ」
&ref(Inga.png);「だって貴女、ハルステンまで殺したでしょう...
そういえば昔、お祖父様が言っていた。曽お祖父様は自分も...
私はこうして自分でシフを地獄に引き摺りながら、「もしか...
だったらもしかすれば、地獄の方が居心地の良い場所かも知...
&ref(Sif.png);「ヒィイイイイイイイイイイイイイイイイ」
特に……こいつの悲鳴を聴きながら過ごすなら。
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