AAR/フレイヤの末裔/家祖・フレイヤ(前編)
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[[AAR/フレイヤの末裔]]
**序章「半分の死者達」 [#z364cdf9]
'''民の野(フォルクヴァング)は'''
'''フレイヤの統べる処'''
'''死者の座す高み'''
'''日毎討たれし者の半分を彼女が召し'''
'''もう半分をオーディンが得る'''
'''――『ギルヴィの誑かし』 24章'''
&ref(Freyjaアイコン.png);「……ねえバグセク、時間がないの」
&ref(Bagsecgアイコン.png);「ん……フレイヤか、こんな夜中に...
&ref(Freyjaアイコン.png);「ねえ、バグセク。冬が、冬が来る...
深夜。バグセク王は、突然掛けられた声に眠りを妨げられ、...
寝室に入り込んでいたのは一人の女。数ヶ月前、オーフスの...
眉目の整った美しい女だ。夕日の様に紅く長い髪に、白夜の...
ともかく、どうやら身寄りもないので、産後には愛妾として...
それが、この真冬の深夜に、毛皮の一枚だけを肩に羽織り……
&ref(Bagsecgアイコン.png);「その子は、お前の……?」
&ref(Freyjaアイコン.png);「冬が来るわ……長くて、厳しくて、...
……胸に一泣きもせずに眠る赤子を抱いて、ヴォルヴァ(巫女...
&ref(Bagsecgアイコン.png);「……一人で産んだのか」
&ref(Freyjaアイコン.png);「剣の様な冬が来るわ……」
&ref(Bagsecgアイコン.png);「……なぜ、もう歩ける」
&ref(Freyjaアイコン.png);「恐ろしい冬が来るわ……」
&ref(Bagsecgアイコン.png);「来るな!!」
バグセクは寝床の傍らにあるサクスを握り、振った。何かが...
だが、
&ref(Bagsecgアイコン.png);「なん……だと……!」
腕が止まった。女殺しを恥とするノルド男の本能がそうさせ...
「誰か!」と呼ぶバグセクの声がロングハウスに響く、しか...
女の、澄み切って背景まで透けてしまいそうな、蒼白い眼の...
&ref(Freyjaアイコン.png);「貴方では、その冬を越えられない...
顎から血を流しながら、フレイヤの呟きはますます異様の度...
女の腕の中で、滴る血を受けながら、産まれたばかりの筈の...
&ref(Bagsecgアイコン.png);「く、狂ってる……」
ただの一つも正気で受け容れられるもののない状況だった。...
いよいよ集まった近衛を初めとした家臣達、妻、息子、そし...
&ref(Freyjaアイコン.png);「ただ……祝福して。新しい歴史の始...
バグセクの体が硬直さえやめて、脱力した。サクスを取り落...
フレイヤの顔は笑っていた。ニヤニヤと、三日月の様な笑み...
&ref(Freyjaアイコン.png);「貴方達は、『私』に与えられた、...
そう言うと、女は心底楽しそうに、ケラケラと声を上げて笑...
この夜の出来事は如何なる歴史書にも書かれる事はなく、
――ただの一晩でユランの王権がフレイヤという女に移ったと...
**家祖・フレイヤ(前編)1.1.867~ [#t1f967a5]
フローニの起源は女系であり、家祖・フレイヤが "骨なし"イ...
フレイヤの出自を辿る資料は殆ど現存しておらず、南北ユラ...
或いはラグナル・ロズブロークの様に、複数の人間の伝承が...
それは如何なる人物像か。一般的に彼女についてはこの様に...
#ref(デンマーク目前.png)
赤い髪と青い眼、その名の如く、女神フレイヤもかくやとい...
性格は気紛れ且つ残酷、そして偏執的で、それが夫であって...
先述の通りに出自は不明だが、一説によればあるヤルル(貴...
実父の愛人として育てられ、その実父を自ら手に掛けたとい...
彼女の四人の子供のうち、長女・リンダのみ父親が不明であ...
しかしこれらは彼女の事を良く思わない家臣達が、彼女の評...
魔術を使う狂人であったと伝えられる事も多いが、(魔術は...
事実、「ズボン禁止令」などの思い付きで令したとしか思え...
#ref(ズボン禁止令.png)
869年5月21日に布かれた「ズボン禁止令」の勅書。
'''「ズボンは下半身と生殖器だけでなく、人間の魂をも締め...
他にも、愛馬(馬である)を外交官に任命したり、召使いの...
ともかく、彼女が歴史の表舞台に現れるのは西暦867年1月1日...
年明けの祝祭と共に、それまでユラン一帯を支配していたバ...
#ref(バグセク王.png)
バグセク王。
この人物について解っている事も少ない。ユランを支配するデ...
この唐突な禅譲(とは言え、この頃のデンマークに所謂「王...
自らは来たる「大いなる冬(フィンブルヴェト)」の戦いで...
古ノルド人らしからぬ、平和裡に行われたこの王位交代劇だ...
家臣も臣民も、そして当のバグセク前王も、どこか釈然とし...
フレイヤはそれをニヤニヤと笑いながら楽しんでいたという。
そして最初の王命として、ユラン半島の南東部・リュビケを...
その直後に、ブリテン島へ遠征した "骨なし"イヴァルの第五...
この王位交代の背景にはイヴァルが関与しているのではない...
#ref(イヴァルは老人顔の方がイケメンです.png)
"骨なし"イヴァル。
伝説的なヴァイキング、ラグナル・ロズブロークの長男。弟の...
その二つ名は骨の異常によって歩けなかった事に由来するとい...
リュビケ征戦は両軍とも1000人程度の戦いであったが、王か...
ユラン軍はオボトリト軍を終始圧倒し、868年6月12日、特に...
また、バグセクはこの戦いの最中に魔物に憑依されたかの様...
#ref(結婚式.png)
869年1月9日、グドフリド王子が成人した事により、正式にフ...
つまり、フレイヤとイヴァルの間に正式な同盟関係が成立し...
これは征服行に加勢を得る目的があったのは勿論であろうが...
シェラン~スコーネを支配するイヴァルの兄弟、"蛇目の"シ...
ともかく、それに前後してフレイヤは残るオボトリト族の版...
しかし、フレイヤはオボトリト族の大族長・ムシウォイとデ...
予想外の増援によって、野戦には勝利はしたものの、1200あ...
ヴェリグラドの包囲が不完全なまま戦況は1年ほど停滞した(...
先立って同盟を結んだイヴァルに加勢を求めようか思案する...
フレイヤはその攻略戦に、オボトリト征服後に兵を出す約束...
資金が集まるのを待ち、傭兵を雇うべきかと議論される中、...
"蛇目の" シグルドがスヴィドヨッド大族長にして兄である "...
同時にクールラント征服を目論んで大きく消耗している、と...
#ref(バルト海西部.png)
資料の時期は前後するが、バルト海西部の位置関係。赤線で...
今でこそ混血も進み、同じノルドとして友好関係にあるが、...
スカンジナヴィア半島に由来を持つ純ノルド人とユランの覇...
加えて、ラグナルの息子達は(ブリテン島遠征に向ったイヴ...
シグルドがいつ服属を求めて侵攻して来てもおかしくない、...
ヴェンド人の領土を征服するのも、ユランの国力を高め、彼...
叩くべきは今。イヴァルやハルフダンはひと段落が着くまで...
ビョルンもスウェーデン平定にシグルドの手を借りている状...
ユランを敵とみなしていなかったのか、メクレンブルク攻略...
もしもシグルドの服属に成功すれば、デンマークは統一され...
キリスト教国に国土全てが晒されている、という状況を脱却...
フレイヤは国庫の大半を費やしてラップ人の傭兵1400人を雇...
彼らが到着した翌日、オボトリト族は白紙和平を要求。恐ら...
シグルドの兄弟達がそれぞれの戦争を終わらせる前に事を済...
そして、傭兵達と残る兵力を全てフュン島に集結させたので...
情報通り、フュン島には最低限の守備隊以上の兵力はなく、...
しかし、何もかもが簡単に進んだわけでもない。スコットラ...
イヴァルは二人の弟を天秤に掛け、シグルドの側につく事を...
フュン島奪還の為に送られて来たイヴァル軍は約2000人。数...
スレースヴィでの会戦は激戦を極め、ユラン軍は辛くも勝利...
しかし、その後はシグルド側に殆ど増援らしい増援もなく、8...
かくて、デンマークはフレイヤ女王の下に統一された。
#ref(スカンジナヴィア南部.png)
デンマーク統一時のスカンジナヴィア南部及びユラン半島の勢...
ノルド・ヴァイキングの祖地として知られるスヴィドヨッド(...
因みにこの時、どうやらシグルドはクールラントの征服その...
|[[AAR/フレイヤの末裔/家祖・フレイヤ(後編)]]に続く。|
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[[AAR/フレイヤの末裔]]
**序章「半分の死者達」 [#z364cdf9]
'''民の野(フォルクヴァング)は'''
'''フレイヤの統べる処'''
'''死者の座す高み'''
'''日毎討たれし者の半分を彼女が召し'''
'''もう半分をオーディンが得る'''
'''――『ギルヴィの誑かし』 24章'''
&ref(Freyjaアイコン.png);「……ねえバグセク、時間がないの」
&ref(Bagsecgアイコン.png);「ん……フレイヤか、こんな夜中に...
&ref(Freyjaアイコン.png);「ねえ、バグセク。冬が、冬が来る...
深夜。バグセク王は、突然掛けられた声に眠りを妨げられ、...
寝室に入り込んでいたのは一人の女。数ヶ月前、オーフスの...
眉目の整った美しい女だ。夕日の様に紅く長い髪に、白夜の...
ともかく、どうやら身寄りもないので、産後には愛妾として...
それが、この真冬の深夜に、毛皮の一枚だけを肩に羽織り……
&ref(Bagsecgアイコン.png);「その子は、お前の……?」
&ref(Freyjaアイコン.png);「冬が来るわ……長くて、厳しくて、...
……胸に一泣きもせずに眠る赤子を抱いて、ヴォルヴァ(巫女...
&ref(Bagsecgアイコン.png);「……一人で産んだのか」
&ref(Freyjaアイコン.png);「剣の様な冬が来るわ……」
&ref(Bagsecgアイコン.png);「……なぜ、もう歩ける」
&ref(Freyjaアイコン.png);「恐ろしい冬が来るわ……」
&ref(Bagsecgアイコン.png);「来るな!!」
バグセクは寝床の傍らにあるサクスを握り、振った。何かが...
だが、
&ref(Bagsecgアイコン.png);「なん……だと……!」
腕が止まった。女殺しを恥とするノルド男の本能がそうさせ...
「誰か!」と呼ぶバグセクの声がロングハウスに響く、しか...
女の、澄み切って背景まで透けてしまいそうな、蒼白い眼の...
&ref(Freyjaアイコン.png);「貴方では、その冬を越えられない...
顎から血を流しながら、フレイヤの呟きはますます異様の度...
女の腕の中で、滴る血を受けながら、産まれたばかりの筈の...
&ref(Bagsecgアイコン.png);「く、狂ってる……」
ただの一つも正気で受け容れられるもののない状況だった。...
いよいよ集まった近衛を初めとした家臣達、妻、息子、そし...
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バグセクの体が硬直さえやめて、脱力した。サクスを取り落...
フレイヤの顔は笑っていた。ニヤニヤと、三日月の様な笑み...
&ref(Freyjaアイコン.png);「貴方達は、『私』に与えられた、...
そう言うと、女は心底楽しそうに、ケラケラと声を上げて笑...
この夜の出来事は如何なる歴史書にも書かれる事はなく、
――ただの一晩でユランの王権がフレイヤという女に移ったと...
**家祖・フレイヤ(前編)1.1.867~ [#t1f967a5]
フローニの起源は女系であり、家祖・フレイヤが "骨なし"イ...
フレイヤの出自を辿る資料は殆ど現存しておらず、南北ユラ...
或いはラグナル・ロズブロークの様に、複数の人間の伝承が...
それは如何なる人物像か。一般的に彼女についてはこの様に...
#ref(デンマーク目前.png)
赤い髪と青い眼、その名の如く、女神フレイヤもかくやとい...
性格は気紛れ且つ残酷、そして偏執的で、それが夫であって...
先述の通りに出自は不明だが、一説によればあるヤルル(貴...
実父の愛人として育てられ、その実父を自ら手に掛けたとい...
彼女の四人の子供のうち、長女・リンダのみ父親が不明であ...
しかしこれらは彼女の事を良く思わない家臣達が、彼女の評...
魔術を使う狂人であったと伝えられる事も多いが、(魔術は...
事実、「ズボン禁止令」などの思い付きで令したとしか思え...
#ref(ズボン禁止令.png)
869年5月21日に布かれた「ズボン禁止令」の勅書。
'''「ズボンは下半身と生殖器だけでなく、人間の魂をも締め...
他にも、愛馬(馬である)を外交官に任命したり、召使いの...
ともかく、彼女が歴史の表舞台に現れるのは西暦867年1月1日...
年明けの祝祭と共に、それまでユラン一帯を支配していたバ...
#ref(バグセク王.png)
バグセク王。
この人物について解っている事も少ない。ユランを支配するデ...
この唐突な禅譲(とは言え、この頃のデンマークに所謂「王...
自らは来たる「大いなる冬(フィンブルヴェト)」の戦いで...
古ノルド人らしからぬ、平和裡に行われたこの王位交代劇だ...
家臣も臣民も、そして当のバグセク前王も、どこか釈然とし...
フレイヤはそれをニヤニヤと笑いながら楽しんでいたという。
そして最初の王命として、ユラン半島の南東部・リュビケを...
その直後に、ブリテン島へ遠征した "骨なし"イヴァルの第五...
この王位交代の背景にはイヴァルが関与しているのではない...
#ref(イヴァルは老人顔の方がイケメンです.png)
"骨なし"イヴァル。
伝説的なヴァイキング、ラグナル・ロズブロークの長男。弟の...
その二つ名は骨の異常によって歩けなかった事に由来するとい...
リュビケ征戦は両軍とも1000人程度の戦いであったが、王か...
ユラン軍はオボトリト軍を終始圧倒し、868年6月12日、特に...
また、バグセクはこの戦いの最中に魔物に憑依されたかの様...
#ref(結婚式.png)
869年1月9日、グドフリド王子が成人した事により、正式にフ...
つまり、フレイヤとイヴァルの間に正式な同盟関係が成立し...
これは征服行に加勢を得る目的があったのは勿論であろうが...
シェラン~スコーネを支配するイヴァルの兄弟、"蛇目の"シ...
ともかく、それに前後してフレイヤは残るオボトリト族の版...
しかし、フレイヤはオボトリト族の大族長・ムシウォイとデ...
予想外の増援によって、野戦には勝利はしたものの、1200あ...
ヴェリグラドの包囲が不完全なまま戦況は1年ほど停滞した(...
先立って同盟を結んだイヴァルに加勢を求めようか思案する...
フレイヤはその攻略戦に、オボトリト征服後に兵を出す約束...
資金が集まるのを待ち、傭兵を雇うべきかと議論される中、...
"蛇目の" シグルドがスヴィドヨッド大族長にして兄である "...
同時にクールラント征服を目論んで大きく消耗している、と...
#ref(バルト海西部.png)
資料の時期は前後するが、バルト海西部の位置関係。赤線で...
今でこそ混血も進み、同じノルドとして友好関係にあるが、...
スカンジナヴィア半島に由来を持つ純ノルド人とユランの覇...
加えて、ラグナルの息子達は(ブリテン島遠征に向ったイヴ...
シグルドがいつ服属を求めて侵攻して来てもおかしくない、...
ヴェンド人の領土を征服するのも、ユランの国力を高め、彼...
叩くべきは今。イヴァルやハルフダンはひと段落が着くまで...
ビョルンもスウェーデン平定にシグルドの手を借りている状...
ユランを敵とみなしていなかったのか、メクレンブルク攻略...
もしもシグルドの服属に成功すれば、デンマークは統一され...
キリスト教国に国土全てが晒されている、という状況を脱却...
フレイヤは国庫の大半を費やしてラップ人の傭兵1400人を雇...
彼らが到着した翌日、オボトリト族は白紙和平を要求。恐ら...
シグルドの兄弟達がそれぞれの戦争を終わらせる前に事を済...
そして、傭兵達と残る兵力を全てフュン島に集結させたので...
情報通り、フュン島には最低限の守備隊以上の兵力はなく、...
しかし、何もかもが簡単に進んだわけでもない。スコットラ...
イヴァルは二人の弟を天秤に掛け、シグルドの側につく事を...
フュン島奪還の為に送られて来たイヴァル軍は約2000人。数...
スレースヴィでの会戦は激戦を極め、ユラン軍は辛くも勝利...
しかし、その後はシグルド側に殆ど増援らしい増援もなく、8...
かくて、デンマークはフレイヤ女王の下に統一された。
#ref(スカンジナヴィア南部.png)
デンマーク統一時のスカンジナヴィア南部及びユラン半島の勢...
ノルド・ヴァイキングの祖地として知られるスヴィドヨッド(...
因みにこの時、どうやらシグルドはクールラントの征服その...
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