AAR/フレイヤの末裔/カルル王(中編)
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[[AAR/フレイヤの末裔]]
[[AAR/フレイヤの末裔/カルル王(前編)]]
**幕間「狂乱(ヴォーダン)」 [#mb0da084]
'''神の名はオーディン、即ち「&ruby(ヴォーダン){狂乱};」で...
'''――『ハンブルク教会史』第四部『北欧諸島誌』'''
斧と斧が叩き合って火花を散らす。矢が北方の凍気を裂いて...
あらゆる北方人が、&ruby(ヒルディスヴィニ){戦猪旗};の下...
時折、その戦の塊の中から弾き飛ばされる様に散った者が、...
''「ウプサラに、幸いあれ……!!」''
敵も味方も、戦場の誰もが笑っていた。殺す者も殺される者...
斬り、斬られ、撃ち、撃たれ、戦い合って、誰もそれを恐れ...
カルルは傍らの友に訊ねた。王の近衛でもある友は大斧を揮...
&ref(Karl.png);「なあトステよ、この戦いは何だと思う?」
&ref(Toste.png);「決まってるだろ」
それは文法上、質問の形を取っていたが、カルルが求めてい...
&ref(Toste.png);「&ruby(コミュニケーション){交合};さ」
脳漿を撒き散らして斃れるスヴェア兵の、辛うじて元型を留...
兵力差はざっと3倍、国力差はさらにその倍以上にもなるこの...
この圧倒的な負け戦を、しかしスヴェアの戦士達は愉しんで...
これは不可解な戦争だった。フローニとフローニが、お互い...
恋人同士が「一つになりたい」と願って、肉と肉を、体液と...
これが凄惨でありながら神聖で、闘争の形を取った儀式であ...
&ref(Karl.png);「違いない」
「所有するという事」は、ノルドにとって余りにも神聖で、...
それ故に、侵略と略奪は神聖な儀式だった。奪い、奪われる...
より強い者は、より高い天恵の者として、より多くを得る。...
殊に、争われるのが「北方世界の全て」であるならば。闘争...
&ref(Karl.png);「だがなあ、トステよ。何かが足りないとは思...
カルルもまた、数多のデーン兵を退けて眼前に迫った一人の...
&ref(Karl.png);「奪って奪い尽くして得た、スカンディアの『...
&ref(Toste.png);「ああ? どういうことだよ?」
すると、カルルは騎馬を打って猛然と駆け出した。前線へ向...
&ref(Toste.png);「カルル!!? 大将が前に出てどうすんだ...
&ref(Karl.png);「なあトステよ! 『ただの王』じゃあいけね...
カルルの騎馬は幾つものスヴェア兵とデーン兵の亡骸を踏み...
''「だあっはっはっは! 俺らの王様は時々過激だぜ!!!!...
''「馬鹿じゃねえのか!!? 王の一騎駆けだと!!」''
''「やらせるな!! 陛下をお守りしろおお!!!!」''
''「討てえええ!! カルマルフスまでは走らせるな! 討て...
''「殺せ、殺せ! 先に殺せ!!!! 殺させる前に殺せ!!...
''「殺させろ! 殺させる為に殺す!! 殺される前に殺させ...
''「殺せ! 殺せ!! 殺せ!!!!」''
''「殺せ! 殺せ!! 殺せ!!!!」''
カルルの駆けた後では、敵も味方も闘争心を煽られて、次々...
蹄鉄の巻き上げた血煙は、戦の悦びを惹起する媚薬の霧とな...
''「パイク隊構ええええええ!!」''
遂にカルルの目に城砦が写る。ノルドとノルドの打ち合う中...
落馬まがいに地に身を転げさせて、騎馬を捨てる。馬もまた...
全身を貫かれた痛みに血を噴き出しながら荒れ狂う騎馬は数...
今度は自分の脚で駆けようとする……が、肋骨に、痛みが走っ...
&ref(Karl.png);(ちっ……思ったように格好良くはいかねえな)
馬を突っ込ませて崩れた戦列を抜け、敵指揮官の首を獲る、...
しかし、痛みにたたらを踏むカルルは既にスヴェア兵に囲ま...
それは儀式的な熱狂だった。それは闘争の狂乱だった。それ...
&ref(Karl.png);(それを全部、俺が呑み干してやる!!)
一言毎に顎関節を限界まで開き、カルルが吼える。
&ref(Karl.png);''「スヴィドヨッドの勇者達よ聴くが良い! ...
&ref(Karl.png);''「我が天恵の多寡を問う者あらば、その刃で...
&ref(Toste.png);「カルル!!!!」
カルルを援護しようとトステの部隊が走る。しかしそれより...
* * *
&ref(KarlD.png);…………。
&ref(Freyja.png);「……へえ、随分と仲良しじゃない。私と貴方...
&ref(Bagsecg.png);「止せ、気色の悪い。そんな事よりどうす...
&ref(Freyja.png);「別に死なせてやっても良いんだけどね……も...
&ref(Freyja.png);「多少遠回りにはなるでしょうけれど、そん...
&ref(Bagsecg.png);「それはそうだろうが……仮にもお前の子孫...
&ref(Freyja.png);「……それを決めるのはこの子本人ね。どう?...
&ref(KarlD.png);――。
&ref(Freyja.png);「そんなの解ってるわよ。その上で、未練は...
&ref(KarlD.png);――。
&ref(Freyja.png);「……。質問の仕方を変えましょうか。貴方は...
&ref(Freyja.png);「でも、それを放棄して、ここで私と『半分...
&ref(Freyja.png);「とにかく、生きたいのか、死にたいのか、...
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&ref(KarlD.png);――!!
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&ref(KarlD.png);――?
&ref(Freyja.png);「物分りが悪いわね……私は非常用よ。それで...
&ref(Freyja.png);「『半分の死者達』はその為。私が『&ruby(...
&ref(Freyja.png);「私だけは、何度だってやり直せるのよ」
&ref(KarlD.png);――。
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&ref(KarlD.png);――!
&ref(Freyja.png);「そう、そんなに。だったら……」
&ref(Freyja.png);「……こんな夢を見ていないで、眼を醒ましな...
&ref(KarlD.png);――!? ――! ――!!!!
&ref(Freyja.png);「…………馬鹿ね。ただで会わせてやるわけ無い...
&ref(Bagsecg.png);「……本当に最低だな、お前は」
* * *
&ref(Karl.png);「リンダに……!!」
女神は消えた。セスルームニルであろうその広間も消えた。...
驚愕の表情を浮かべて傍らにいるのは、看病役と思しき&ruby...
&ref(Karl.png);「フレイヤ……俺は、フレイヤの……」
夢の記憶は容易に揮発する。カルルの見た「何か」は既に反...
しかし……自分が、いや、全てのノルドが、或いは今スカンデ...
&ref(Karl.png);「……フレイヤの……」
呟いた時、カルルの寝所に、トステを始めとした近衛や顧問...
彼らはカルルの覚醒を確かめるなり、大きく目を瞠き、驚愕...
&ref(Toste.png);「馬鹿かお前は! 勝ち戦で何の無茶してや...
&ref(Karl.png);「何の……か」
逡巡する。確かに理由はあった。それを口にする。
&ref(Karl.png);「…………俺は、生きてるだろう?」
&ref(Toste.png);「ああ、紙一重でな。お前のやらかした馬鹿...
&ref(Karl.png);「つまり、そういう事だよ」
&ref(Toste.png);「ああん?」
&ref(Karl.png);「俺は、死なない。俺の&ruby(ハイル){天恵};...
&ref(Karl.png);「それを証明したかったのさ」
半分は本当だった。少なくとも、カルルはあの時、そういう...
しかし、あの光景が夢であれ現であれ、『女神』が「リンダ...
それこそが、カルルを、死を厭わずに武勇の証明に逸らせた...
息子も優秀な妻を娶り、彼の年頃も自分が玉座に着いた時と...
後妻も取ったが、自分には最早、継承問題をややこしくする...
死なない理由が、無かっただけではないか。父が忌み続けた...
&ref(Freyr.png);「とはいえ、今後は自粛していただきます。...
&ref(Freyr.png);「父上、貴方には&ruby(ミッドガルド){この...
&ref(Freyr.png);「モレの占領は済み、アウステルボーンのグ...
&ref(Freyr.png);「敵の戦力はそれが最後です。スヴィドヨッ...
&ref(Freyr.png);「つまり、父上は遠からず&ruby(ハイル・ケ...
&ref(Karl.png);(ああ、そうか…………)
この戦いの決着は、それを意味した。二つのフローニは闘争...
キリスト教徒との敵対という&ruby(フィンブルヴェト){大い...
時代は変わるだろう。ノルドがノルドであり続けられる時代...
&ref(Karl.png);(帝国化の完遂は、俺の義務だと、俺はリンダ...
&ref(Karl.png);(死なせて貰えるわけねえよな、そりゃあ)
しかし、&ruby(ヴォーダン){狂乱};をこそ&ruby(オーディン)...
*カルル王(中編)1.7.961~ [#j12bcc64]
**スヴィドヨッド服属戦争 [#tade8d73]
&ref(シグルド2世.png);ムンソの血を引く、もう一人のフロー...
961年1月上旬、カルル王はシグルド2世に服属を要求。しかし...
スカンジナヴィア中から動員された合計で1万近い兵は各地で...
スヴィドヨッド軍の主力部隊はカルマルに陣を布き、その戦...
&ref(カルマルの戦い.png); &ref(ウプサラの戦い.png);
このカルマルの戦いの最中、カルル王は瀕死の重傷を負い、...
そして962年3月23日――
&ref(スヴィドヨッド服属.png); &ref(デンマークってレベル...
――シグルド2世がスヴェアの王冠を返上する事を以て、この戦...
このフローニ氏族同士の戦いについて記す資料は何れも奇妙...
そう、この戦いの勝利は、ただ直系フローニがスヴェア人を...
&ref(帝王の誕生.png); &ref(鉄心帝カルル.png);
スカンジナヴィア帝国と、皇帝の誕生も、意味していたのだ...
**皇帝最初の事業 [#red76b14]
&ref(Karl2.png);「デーンの民よ、この日を最も強く待ったの...
&ref(Karl2.png);「ノースの民よ、最も古く誇り高き戦士達よ...
&ref(Karl2.png);「スヴェアの民よ、"&ruby(スカンジナヴィア...
&ref(Karl2.png);「サーミの民よ、あらゆる山河と和す狩人よ...
&ref(Karl2.png);「フィンの民よ、カレワラの誤りは正された...
&ref(Karl2.png);''「全ての"&ruby(ノルド){北方人};"よ!!...
&ref(Karl2.png);''「"&ruby(ヘイムスヴェルディ・オー・ノル...
戦勝と共にカルル王はシグルド2世のスヴィドヨッド王位を剥...
カルルが皇帝として最初に手を付けた事業は、氏族関係の階...
同時に、シグルド善王の甥である西ゴートランド大族長・ト...
これにより、スカンジナヴィア半島は、未だ帝国化を拒むラ...
&ref(スカンジナヴィア帝国.png);
そして、その次の勅令は、ヨムス・ヴァイキングの拡大の支...
&ref(戦長ホラーネ.png); &ref(ぽめらにあん.png);
この時のヨムス・ヴァイキングを率いる戦長・ホラーネはイ...
祖父には似ず、野心や自己主張というものの殆ど無い、物静...
詳しい戦闘の記録は残っていないが、スカンジナヴィア軍が...
&ref(ちわわ.png); &ref(スラプスク戦.png);
しかし、スカンジナヴィアの精鋭常備軍5000名が間に合った...
アンラウフの治世では苦杯を飲まされたキリスト教徒、それ...
多くの……というのは、例外があったという事だ。
**ムンソ家、再起。 [#z6b993a2]
&ref(アスビョルンの挑戦.png); &ref(アスビョルン.png); ...
シグルド2世の年下の叔父・アスビョルンが、スヴィドヨッド...
シグルド善王の四男として生まれたアスビョルンは継承順位...
&ref(Asbjorn.png);「馬鹿な! この脚が何だというのだ、大...
&ref(Asbjorn.png);「2世殿には半分、豚の血が混ざっておるか...
&ref(Asbjorn.png);「戦士を侮辱したならば、復讐を受ける覚...
&ref(Asbjorn.png);「『フロージの相剋』が終わってなどいな...
&ref(アスビョルンの挑戦.png);
シグルド善王の子であるアスビョルンがスヴィドヨッド王位...
この報告を受けたカルル帝が浮かべた苦笑は、それはそれは...
&ref(Karl2.png);「氏族の宿命、というわけか? 父はインリ...
カルル帝はスカンジナヴィア全土に呼び掛け、約7千の兵員を...
&ref(しーずー.png);
東フランクや他のキリスト教国から更に大規模な援軍が送ら...
そして964年10月中旬――
&ref(魚類.png);
――アスビョルンの軍が本土上陸を開始した。その数――
&ref(3万.png);
その数、約3万である((正直変な声が出ましたね!!!!))。
&ref(Asbjorn.png);「フローニのカルルよ、我は汝に弑逆され...
&ref(Asbjorn.png);「&ruby(ソドラ・クヴァルケン){アーラン...
&ref(Asbjorn.png);「スカジの地を&ruby(ムスペルヘイム){炎...
&ref(Karl2.png);「ば、馬鹿な……!?」
一次史料に於ける兵員数というのは大抵水増しされており、...
この時代に於ける3万という数字は、当時最強の国家であるビ...
しかし、後の状況を鑑みるに、かなりの大兵力であった事は...
一先ず、カルル帝はヨムス・ヴァイキングのポメラニア侵略...
&ref(ぷぅどる.png); &ref(まるちーず.png);
964年12月末頃、ヨムス・ヴァイキングはついにポメラニア公...
これによってヨムス・ヴァイキングの兵員も大幅に増加し、...
しかし――
&ref(補給はどうした!?.png);
徴発によって補給を維持できる大きさに軍団を分割しながら...
&ref(無血敗北.png); &ref(王位返上.png);
結局、スカンジナヴィアの年始の大民会で、圧倒的多数の族...
&ref(Karl2.png);「僅か2年の内で万軍を集め、あれ程密な連繋...
&ref(Karl2.png);「復讐は果たされ、ムンソの名誉は汝によっ...
&ref(Karl2.png);「今一度、ウプサラを、スヴィドヨッドを、...
&ref(AsbjornK.png);「ハッ、本来ならば全てのノルドがせねば...
&ref(AsbjornK.png);「何れはスカンディアの全ての者が、真の...
&ref(AsbjornK.png);「ついでに言わせていただきますれば、『...
&ref(AsbjornK.png);「ウプサラの版図は『&ruby(スウェーデン...
&ref(大分裂.png);
スカンジナヴィア帝国は成ったが、こうして瞬く間に分裂の...
ウプサラ大寺院……ノルドの信仰の聖地である3大寺院の一角が...
停戦はスカンジナヴィア帝国側からの開戦は制限しない、し...
&ref(Karl2.png);(八方塞りか……)
&ref(Freyr.png);「父上、お話が御座います」
&ref(ホレイドラ神官.png);「……」
&ref(オーデンセ神官.png);「……」
&ref(アールフス神官.png);「……」
&ref(Karl2.png);「フレイ……それに、神官達……?」
&ref(Freyr.png);「聖地を、取り戻しましょう」
この行き詰まりを打開する一手、それは――
|[[AAR/フレイヤの末裔/カルル帝(後編)]]に続く|
終了行:
[[AAR/フレイヤの末裔]]
[[AAR/フレイヤの末裔/カルル王(前編)]]
**幕間「狂乱(ヴォーダン)」 [#mb0da084]
'''神の名はオーディン、即ち「&ruby(ヴォーダン){狂乱};」で...
'''――『ハンブルク教会史』第四部『北欧諸島誌』'''
斧と斧が叩き合って火花を散らす。矢が北方の凍気を裂いて...
あらゆる北方人が、&ruby(ヒルディスヴィニ){戦猪旗};の下...
時折、その戦の塊の中から弾き飛ばされる様に散った者が、...
''「ウプサラに、幸いあれ……!!」''
敵も味方も、戦場の誰もが笑っていた。殺す者も殺される者...
斬り、斬られ、撃ち、撃たれ、戦い合って、誰もそれを恐れ...
カルルは傍らの友に訊ねた。王の近衛でもある友は大斧を揮...
&ref(Karl.png);「なあトステよ、この戦いは何だと思う?」
&ref(Toste.png);「決まってるだろ」
それは文法上、質問の形を取っていたが、カルルが求めてい...
&ref(Toste.png);「&ruby(コミュニケーション){交合};さ」
脳漿を撒き散らして斃れるスヴェア兵の、辛うじて元型を留...
兵力差はざっと3倍、国力差はさらにその倍以上にもなるこの...
この圧倒的な負け戦を、しかしスヴェアの戦士達は愉しんで...
これは不可解な戦争だった。フローニとフローニが、お互い...
恋人同士が「一つになりたい」と願って、肉と肉を、体液と...
これが凄惨でありながら神聖で、闘争の形を取った儀式であ...
&ref(Karl.png);「違いない」
「所有するという事」は、ノルドにとって余りにも神聖で、...
それ故に、侵略と略奪は神聖な儀式だった。奪い、奪われる...
より強い者は、より高い天恵の者として、より多くを得る。...
殊に、争われるのが「北方世界の全て」であるならば。闘争...
&ref(Karl.png);「だがなあ、トステよ。何かが足りないとは思...
カルルもまた、数多のデーン兵を退けて眼前に迫った一人の...
&ref(Karl.png);「奪って奪い尽くして得た、スカンディアの『...
&ref(Toste.png);「ああ? どういうことだよ?」
すると、カルルは騎馬を打って猛然と駆け出した。前線へ向...
&ref(Toste.png);「カルル!!? 大将が前に出てどうすんだ...
&ref(Karl.png);「なあトステよ! 『ただの王』じゃあいけね...
カルルの騎馬は幾つものスヴェア兵とデーン兵の亡骸を踏み...
''「だあっはっはっは! 俺らの王様は時々過激だぜ!!!!...
''「馬鹿じゃねえのか!!? 王の一騎駆けだと!!」''
''「やらせるな!! 陛下をお守りしろおお!!!!」''
''「討てえええ!! カルマルフスまでは走らせるな! 討て...
''「殺せ、殺せ! 先に殺せ!!!! 殺させる前に殺せ!!...
''「殺させろ! 殺させる為に殺す!! 殺される前に殺させ...
''「殺せ! 殺せ!! 殺せ!!!!」''
''「殺せ! 殺せ!! 殺せ!!!!」''
カルルの駆けた後では、敵も味方も闘争心を煽られて、次々...
蹄鉄の巻き上げた血煙は、戦の悦びを惹起する媚薬の霧とな...
''「パイク隊構ええええええ!!」''
遂にカルルの目に城砦が写る。ノルドとノルドの打ち合う中...
落馬まがいに地に身を転げさせて、騎馬を捨てる。馬もまた...
全身を貫かれた痛みに血を噴き出しながら荒れ狂う騎馬は数...
今度は自分の脚で駆けようとする……が、肋骨に、痛みが走っ...
&ref(Karl.png);(ちっ……思ったように格好良くはいかねえな)
馬を突っ込ませて崩れた戦列を抜け、敵指揮官の首を獲る、...
しかし、痛みにたたらを踏むカルルは既にスヴェア兵に囲ま...
それは儀式的な熱狂だった。それは闘争の狂乱だった。それ...
&ref(Karl.png);(それを全部、俺が呑み干してやる!!)
一言毎に顎関節を限界まで開き、カルルが吼える。
&ref(Karl.png);''「スヴィドヨッドの勇者達よ聴くが良い! ...
&ref(Karl.png);''「我が天恵の多寡を問う者あらば、その刃で...
&ref(Toste.png);「カルル!!!!」
カルルを援護しようとトステの部隊が走る。しかしそれより...
* * *
&ref(KarlD.png);…………。
&ref(Freyja.png);「……へえ、随分と仲良しじゃない。私と貴方...
&ref(Bagsecg.png);「止せ、気色の悪い。そんな事よりどうす...
&ref(Freyja.png);「別に死なせてやっても良いんだけどね……も...
&ref(Freyja.png);「多少遠回りにはなるでしょうけれど、そん...
&ref(Bagsecg.png);「それはそうだろうが……仮にもお前の子孫...
&ref(Freyja.png);「……それを決めるのはこの子本人ね。どう?...
&ref(KarlD.png);――。
&ref(Freyja.png);「そんなの解ってるわよ。その上で、未練は...
&ref(KarlD.png);――。
&ref(Freyja.png);「……。質問の仕方を変えましょうか。貴方は...
&ref(Freyja.png);「でも、それを放棄して、ここで私と『半分...
&ref(Freyja.png);「とにかく、生きたいのか、死にたいのか、...
&ref(Bagsecg.png);「……言っておくが、こっちに残った所で楽...
&ref(KarlD.png);――!!
&ref(Freyja.png);「&ruby(フィンブルヴェト){大いなる冬};は...
&ref(Freyja.png);「&ruby(ヴェルスパー){巫女の予言};が『最...
&ref(KarlD.png);――?
&ref(Freyja.png);「物分りが悪いわね……私は非常用よ。それで...
&ref(Freyja.png);「『半分の死者達』はその為。私が『&ruby(...
&ref(Freyja.png);「私だけは、何度だってやり直せるのよ」
&ref(KarlD.png);――。
&ref(Freyja.png);「……いるわよ。会わせてあげてもいいわ」
&ref(KarlD.png);――!
&ref(Freyja.png);「そう、そんなに。だったら……」
&ref(Freyja.png);「……こんな夢を見ていないで、眼を醒ましな...
&ref(KarlD.png);――!? ――! ――!!!!
&ref(Freyja.png);「…………馬鹿ね。ただで会わせてやるわけ無い...
&ref(Bagsecg.png);「……本当に最低だな、お前は」
* * *
&ref(Karl.png);「リンダに……!!」
女神は消えた。セスルームニルであろうその広間も消えた。...
驚愕の表情を浮かべて傍らにいるのは、看病役と思しき&ruby...
&ref(Karl.png);「フレイヤ……俺は、フレイヤの……」
夢の記憶は容易に揮発する。カルルの見た「何か」は既に反...
しかし……自分が、いや、全てのノルドが、或いは今スカンデ...
&ref(Karl.png);「……フレイヤの……」
呟いた時、カルルの寝所に、トステを始めとした近衛や顧問...
彼らはカルルの覚醒を確かめるなり、大きく目を瞠き、驚愕...
&ref(Toste.png);「馬鹿かお前は! 勝ち戦で何の無茶してや...
&ref(Karl.png);「何の……か」
逡巡する。確かに理由はあった。それを口にする。
&ref(Karl.png);「…………俺は、生きてるだろう?」
&ref(Toste.png);「ああ、紙一重でな。お前のやらかした馬鹿...
&ref(Karl.png);「つまり、そういう事だよ」
&ref(Toste.png);「ああん?」
&ref(Karl.png);「俺は、死なない。俺の&ruby(ハイル){天恵};...
&ref(Karl.png);「それを証明したかったのさ」
半分は本当だった。少なくとも、カルルはあの時、そういう...
しかし、あの光景が夢であれ現であれ、『女神』が「リンダ...
それこそが、カルルを、死を厭わずに武勇の証明に逸らせた...
息子も優秀な妻を娶り、彼の年頃も自分が玉座に着いた時と...
後妻も取ったが、自分には最早、継承問題をややこしくする...
死なない理由が、無かっただけではないか。父が忌み続けた...
&ref(Freyr.png);「とはいえ、今後は自粛していただきます。...
&ref(Freyr.png);「父上、貴方には&ruby(ミッドガルド){この...
&ref(Freyr.png);「モレの占領は済み、アウステルボーンのグ...
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&ref(Freyr.png);「つまり、父上は遠からず&ruby(ハイル・ケ...
&ref(Karl.png);(ああ、そうか…………)
この戦いの決着は、それを意味した。二つのフローニは闘争...
キリスト教徒との敵対という&ruby(フィンブルヴェト){大い...
時代は変わるだろう。ノルドがノルドであり続けられる時代...
&ref(Karl.png);(帝国化の完遂は、俺の義務だと、俺はリンダ...
&ref(Karl.png);(死なせて貰えるわけねえよな、そりゃあ)
しかし、&ruby(ヴォーダン){狂乱};をこそ&ruby(オーディン)...
*カルル王(中編)1.7.961~ [#j12bcc64]
**スヴィドヨッド服属戦争 [#tade8d73]
&ref(シグルド2世.png);ムンソの血を引く、もう一人のフロー...
961年1月上旬、カルル王はシグルド2世に服属を要求。しかし...
スカンジナヴィア中から動員された合計で1万近い兵は各地で...
スヴィドヨッド軍の主力部隊はカルマルに陣を布き、その戦...
&ref(カルマルの戦い.png); &ref(ウプサラの戦い.png);
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そして962年3月23日――
&ref(スヴィドヨッド服属.png); &ref(デンマークってレベル...
――シグルド2世がスヴェアの王冠を返上する事を以て、この戦...
このフローニ氏族同士の戦いについて記す資料は何れも奇妙...
そう、この戦いの勝利は、ただ直系フローニがスヴェア人を...
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スカンジナヴィア帝国と、皇帝の誕生も、意味していたのだ...
**皇帝最初の事業 [#red76b14]
&ref(Karl2.png);「デーンの民よ、この日を最も強く待ったの...
&ref(Karl2.png);「ノースの民よ、最も古く誇り高き戦士達よ...
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&ref(Karl2.png);「サーミの民よ、あらゆる山河と和す狩人よ...
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&ref(Karl2.png);''「"&ruby(ヘイムスヴェルディ・オー・ノル...
戦勝と共にカルル王はシグルド2世のスヴィドヨッド王位を剥...
カルルが皇帝として最初に手を付けた事業は、氏族関係の階...
同時に、シグルド善王の甥である西ゴートランド大族長・ト...
これにより、スカンジナヴィア半島は、未だ帝国化を拒むラ...
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そして、その次の勅令は、ヨムス・ヴァイキングの拡大の支...
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この時のヨムス・ヴァイキングを率いる戦長・ホラーネはイ...
祖父には似ず、野心や自己主張というものの殆ど無い、物静...
詳しい戦闘の記録は残っていないが、スカンジナヴィア軍が...
&ref(ちわわ.png); &ref(スラプスク戦.png);
しかし、スカンジナヴィアの精鋭常備軍5000名が間に合った...
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多くの……というのは、例外があったという事だ。
**ムンソ家、再起。 [#z6b993a2]
&ref(アスビョルンの挑戦.png); &ref(アスビョルン.png); ...
シグルド2世の年下の叔父・アスビョルンが、スヴィドヨッド...
シグルド善王の四男として生まれたアスビョルンは継承順位...
&ref(Asbjorn.png);「馬鹿な! この脚が何だというのだ、大...
&ref(Asbjorn.png);「2世殿には半分、豚の血が混ざっておるか...
&ref(Asbjorn.png);「戦士を侮辱したならば、復讐を受ける覚...
&ref(Asbjorn.png);「『フロージの相剋』が終わってなどいな...
&ref(アスビョルンの挑戦.png);
シグルド善王の子であるアスビョルンがスヴィドヨッド王位...
この報告を受けたカルル帝が浮かべた苦笑は、それはそれは...
&ref(Karl2.png);「氏族の宿命、というわけか? 父はインリ...
カルル帝はスカンジナヴィア全土に呼び掛け、約7千の兵員を...
&ref(しーずー.png);
東フランクや他のキリスト教国から更に大規模な援軍が送ら...
そして964年10月中旬――
&ref(魚類.png);
――アスビョルンの軍が本土上陸を開始した。その数――
&ref(3万.png);
その数、約3万である((正直変な声が出ましたね!!!!))。
&ref(Asbjorn.png);「フローニのカルルよ、我は汝に弑逆され...
&ref(Asbjorn.png);「&ruby(ソドラ・クヴァルケン){アーラン...
&ref(Asbjorn.png);「スカジの地を&ruby(ムスペルヘイム){炎...
&ref(Karl2.png);「ば、馬鹿な……!?」
一次史料に於ける兵員数というのは大抵水増しされており、...
この時代に於ける3万という数字は、当時最強の国家であるビ...
しかし、後の状況を鑑みるに、かなりの大兵力であった事は...
一先ず、カルル帝はヨムス・ヴァイキングのポメラニア侵略...
&ref(ぷぅどる.png); &ref(まるちーず.png);
964年12月末頃、ヨムス・ヴァイキングはついにポメラニア公...
これによってヨムス・ヴァイキングの兵員も大幅に増加し、...
しかし――
&ref(補給はどうした!?.png);
徴発によって補給を維持できる大きさに軍団を分割しながら...
&ref(無血敗北.png); &ref(王位返上.png);
結局、スカンジナヴィアの年始の大民会で、圧倒的多数の族...
&ref(Karl2.png);「僅か2年の内で万軍を集め、あれ程密な連繋...
&ref(Karl2.png);「復讐は果たされ、ムンソの名誉は汝によっ...
&ref(Karl2.png);「今一度、ウプサラを、スヴィドヨッドを、...
&ref(AsbjornK.png);「ハッ、本来ならば全てのノルドがせねば...
&ref(AsbjornK.png);「何れはスカンディアの全ての者が、真の...
&ref(AsbjornK.png);「ついでに言わせていただきますれば、『...
&ref(AsbjornK.png);「ウプサラの版図は『&ruby(スウェーデン...
&ref(大分裂.png);
スカンジナヴィア帝国は成ったが、こうして瞬く間に分裂の...
ウプサラ大寺院……ノルドの信仰の聖地である3大寺院の一角が...
停戦はスカンジナヴィア帝国側からの開戦は制限しない、し...
&ref(Karl2.png);(八方塞りか……)
&ref(Freyr.png);「父上、お話が御座います」
&ref(ホレイドラ神官.png);「……」
&ref(オーデンセ神官.png);「……」
&ref(アールフス神官.png);「……」
&ref(Karl2.png);「フレイ……それに、神官達……?」
&ref(Freyr.png);「聖地を、取り戻しましょう」
この行き詰まりを打開する一手、それは――
|[[AAR/フレイヤの末裔/カルル帝(後編)]]に続く|
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