AAR/フレイヤの末裔/アンラウフ王（後編）
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[[AAR/フレイヤの末裔/アンラウフ王（中編）]]
**幕間「血と蜂蜜酒」 [#q9e25ffa]
'''残忍なりしグドルンよ 度し難く罪深きは汝である'''
'''我が蜂蜜酒の杯に 我が子の血を混ぜしは汝である'''
'''汝は親しき者を殺めし者 我の知る最も悪しき者'''
'''汝が現世を去ったとして 我は然して病むまいぞ'''
'''――『詩のエッダ』英雄詩のうち『グリーンランドのアトリの...
それは、まるであの夜の繰り返しの様に、風の強い夜だった。
僕は酔っていた。当たり前だ。こんな事をしようだなんて、...
この世のどんな事も、素面でなんてやってられない。どうし...
&ref(Anlaufr2アイコン.png);「……トティル、起きなさい」
&ref(Totilアイコン.png);「ン……父さま……？」
枕元に僕がいる事にも気付かず、寝息を立てるトティルに腹...
でも、あの夜、僕にはこの風の音が「あの声」の様に聞こえ...
トティル、なぜお前は眠っていられるんだ？ なぜお前はそ...
ここはシェランじゃないのに。今は平和でもないのに。誰も...
リンダ姉様は僕が王に相応しくなければ殺すと言う。
その通りだ、僕は臆病者だ。他のノルドみたいに、戦ったり...
だけど、僕はノルドの大好きな戦争を沢山与えてやった筈だ。
脚が悪いのを憐れに思って娶ってやったマエルは、僕を同性...
その通りだ、女なんて母様もリンダもお前も、どいつもこい...
だけど、僕は王だから、世継ぎを作るのは義務だから、僕は...
なのになんでお前達は逆らう？ どうして僕を裏切る？
&ref(Anlaufr2アイコン.png);「なぜ…………」
&ref(Totilアイコン.png);「え、と、父さま、どうしたの？ ...
&ref(Anlaufr2アイコン.png);「なぜだ、トティル……」
&ref(Totilアイコン.png);「父さま……？ おなかいたいの？ ...
トティルが起き上がって、僕に何か言っている。何を言って...
そうだ、どうせそうだ、誰だってそうだ、誰も僕を愛さない...
&ref(Anlaufr2アイコン.png);「トティル、なぜだ……なぜ、お前...
&ref(Totilアイコン.png);「父さま、どうしたの……？」
&ref(Anlaufr2アイコン.png);「何故！？ お前まで余を裏切る...
&ref(Totilアイコン.png);「父、さッ… ！！？」
何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ！！！！
&ref(Anlaufr2アイコン.png);「何故だッ！！ 何故お前は美し...
&ref(Anlaufr2アイコン.png);「カルルが生まれて来るまで、余...
&ref(Anlaufr2アイコン.png);「醜く肥え太り、『あの声』に怯...
&ref(Anlaufr2アイコン.png);「だが、もうさせんぞ！ カルル...
なんで僕は自分の子供にまで馬鹿にされなくちゃいけないん...
なんで美しくないんだ。カルルはあんなに美しいのに、なん...
なんで神様はあの時みたいに助けないんだ。なんで神様はこ...
&ref(Totilアイコン.png);「と、――」
&ref(Anlaufr2アイコン.png);「…………なんで……なんでなんだ……」
吹雪の音が止まない。「あの声」が更に大きくなる。何もか...
&ref(Anlaufr2アイコン.png);「………………」
&ref(Spyアイコン.png);「良く、御決断されました。全なる父...
&ref(Anlaufr2アイコン.png);「トティル……なぜ…………」
&ref(Spyアイコン.png);「ノルウェーの叛乱は収まったとはい...
&ref(Spyアイコン.png);「この上、継承問題を抱えるのは得策...
&ref(Spyアイコン.png);「王子の亡骸は私が丁重に弔わせてい...
&ref(Anlaufr2アイコン.png);「酒を……」
&ref(Spyアイコン.png);「……恐れながら、適量かと。寝室に御...
&ref(Anlaufr2アイコン.png);「ッ……酒を！！ 持って、来いと...
&ref(Spyアイコン.png);「…………は。直ぐに蜂蜜酒を寝室にお持...
&ref(Anlaufr2アイコン.png);「…………」
誰も彼も僕のいう事を聞かない。僕は王様なのに。王様とし...
なんで…… なんで僕は……
ノルドになんて…… 王になんて………… フローニになんて………………
なんで、神様は…… この世は、こんなに……
こんなにも、残酷なんだ…………
…………………………。
*アンラウフ王（後編）4.2.905～ [#r11dcb35]
ノルウェー服属を含め、アンラウフ王が生涯でノルド社会に...
というのも、彼にはノルド社会で得られる人望というものが...
自らの支配者を「王に相応しい者ではない」と看做したノル...
&ref(ノルウェー叛乱２.png); &ref(ノルウェー叛乱.png);
叛乱である。
ノルウェー征服が為されたのは905年4月の初めであり、この...
これ程の短期間で服属が覆されたのには少々の背景がある。
最初の問題はインリング家を初めとした、ノルウェーの族長...
フローニ家はまだ二代目であり、その歴史の深さではインリ...
アンラウフはインリング家を追放も処刑もせず、ヴェストラ...
次に、アンラウフに付き纏った「同性愛者」の噂と、継嗣問...
アンラウフ王がマエル妃との間に第一子・スヴァンヒルドを...
これに焦ったアンラウフは彼女を宿老に任命して機嫌を取り...
ノルウェー服属戦争も佳境に入った904年後半、マエル妃は第...
オークノー島の族長・バヨラスが単身で叛乱を起こしている（...
そして決定的だったのが、ムロミア族によるウラジミール服...
&ref(ホルムガルドとウラジミール.png);リンダの娶られたウラ...
デンマークがノルウェーに勝利して数週間の後、ウラジミー...
ノルウェー服属戦争に過剰ともいえる5000人規模の援軍を寄...
アンラウフがそれを知ったのは、つまりその死の実に3年後。...
ウラジミール大族領はリューリクの死によって次男でありリ...
デンマークは元よりノルウェーを圧倒していたが、ホルムガ...
ウラジミール軍は大敗し、国土は次々と敵軍に占領されてい...
&ref(ウラジミール服属.png);
ホルムガルド軍の到着も間に合わず、ウラジミールはムロミ...
そしてこれが、ノルウェーの族長達に叛乱の大義名分を与え...
&ref(Hakonアイコン.png);「全ての&ruby(ヤルル){族長};、全...
&ref(Hakonアイコン.png);「臆病者のアンラウフは我らを恐れ...
&ref(Hakonアイコン.png);「あまつさえ、彼らの自衛の為の兵...
&ref(Hakonアイコン.png);「その上でこのノルウェーを『征服...
&ref(Hakonアイコン.png);「フロージの血統者は、インリング...
&ref(Hakonアイコン.png);「さあ休憩は終わりだ、武器を取れ...
ローンヴァルドにノルウェー王位を求める叛乱は、服属戦争...
首謀者であるトロンデラーグ大族長・ハーコンの檄に、ほぼ...
そしてこれが、アンラウフを生涯苦しめるノルウェー叛乱期...
&ref(Battle of Gustrow.png); &ref(北上.png); &ref(Battl...
アンラウフは距離的にノルウェーにより近いスヴィドヨッド...
ノルウェー軍はスカンジナヴィア北部の族長で唯一参戦しな...
&ref(鎮圧１.png);
服属戦争の再現の様にベルゲンフス城砦を陥落し、叛乱は一...
が、この叛乱を鎮圧している最中に、今度はスヴィドヨッド...
&ref(スヴィドヨッド内乱.png); &ref(スヴィドヨッド内乱２....
スヴィドヨッドの内乱は911年初め頃には決着したが、アンラ...
酒量は更に増え、暴食は甚だしくなり、家臣達とも殆ど口を...
&ref(鬱.png);
だが、アンラウフの心を病ませていたのは恐らく戦いだけで...
&ref(宣教師.png);
9世紀末頃から宣教活動を活発化させ、バルト海南世界の大部...
アンラウフは信仰には余り熱心ではなかったが、よもや「&ru...
ともかく、続く戦いが一旦は収まった。アンラウフは叛乱軍...
飽くまで処刑も追放も選ばず、ノルウェー族長達に忠誠が芽...
&ref(カルル爆誕.png); &ref(トティル不審死.png);
911年8月、次男・カルルが誕生（リンダの子と同名であり、...
具体的な死亡状況などは判っていないが、当時の人々は心を...
トティル暗殺説に則った時、なぜカルルではなくトティルが...
&ref(限定的王権.png);
912年2月、アンラウフはユランで催した&ruby(ティング){民...
&ref(Anlaufr2アイコン.png);「……我が&ruby(ヤルル){族長};達...
&ref(Anlaufr2アイコン.png);「このスカンディアでノルドとノ...
&ref(Anlaufr2アイコン.png);「我らの本当の敵、斧の刃を向け...
&ref(Anlaufr2アイコン.png);「確かにあの時、汝らはイースト...
&ref(Anlaufr2アイコン.png);「……汝らには、雪辱が必要である...
&ref(Anlaufr2アイコン.png);「ここで誤魔化すのは辞めにしよ...
&ref(Anlaufr2アイコン.png);「真に武勇の証明を欲しているな...
&ref(Anlaufr2アイコン.png);「幾度となくノルドを退けたあの...
&ref(Anlaufr2アイコン.png);「あれを破り、南ユランを完全に...
&ref(Anlaufr2アイコン.png);「汝らの陰口の通り、余は臆病者...
&ref(Anlaufr2アイコン.png);「お前達は武勇の欠けたままで、...
&ref(Anlaufr2アイコン.png);「……号令は余が発してやろう。集...
&ref(Anlaufr2アイコン.png);「どんな魔物も恐れ戦くノルドの...
……南ユランに食い込む東フランク領の獲得、いや、カール大...
これはつまり、キリスト教国への積極的な敵対を意味する。...
&ref(ハンマブルクの挑戦.png);
これが、アンラウフ王最大の失策として知られる「ハンマブ...
デンマークが得た束の間の平和と安定を、「束の間」のもの...
|[[AAR/フレイヤの末裔/アンラウフ王（完結編）]]に続く|
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[[AAR/フレイヤの末裔/アンラウフ王（中編）]]
**幕間「血と蜂蜜酒」 [#q9e25ffa]
'''残忍なりしグドルンよ 度し難く罪深きは汝である'''
'''我が蜂蜜酒の杯に 我が子の血を混ぜしは汝である'''
'''汝は親しき者を殺めし者 我の知る最も悪しき者'''
'''汝が現世を去ったとして 我は然して病むまいぞ'''
'''――『詩のエッダ』英雄詩のうち『グリーンランドのアトリの...
それは、まるであの夜の繰り返しの様に、風の強い夜だった。
僕は酔っていた。当たり前だ。こんな事をしようだなんて、...
この世のどんな事も、素面でなんてやってられない。どうし...
&ref(Anlaufr2アイコン.png);「……トティル、起きなさい」
&ref(Totilアイコン.png);「ン……父さま……？」
枕元に僕がいる事にも気付かず、寝息を立てるトティルに腹...
でも、あの夜、僕にはこの風の音が「あの声」の様に聞こえ...
トティル、なぜお前は眠っていられるんだ？ なぜお前はそ...
ここはシェランじゃないのに。今は平和でもないのに。誰も...
リンダ姉様は僕が王に相応しくなければ殺すと言う。
その通りだ、僕は臆病者だ。他のノルドみたいに、戦ったり...
だけど、僕はノルドの大好きな戦争を沢山与えてやった筈だ。
脚が悪いのを憐れに思って娶ってやったマエルは、僕を同性...
その通りだ、女なんて母様もリンダもお前も、どいつもこい...
だけど、僕は王だから、世継ぎを作るのは義務だから、僕は...
なのになんでお前達は逆らう？ どうして僕を裏切る？
&ref(Anlaufr2アイコン.png);「なぜ…………」
&ref(Totilアイコン.png);「え、と、父さま、どうしたの？ ...
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トティルが起き上がって、僕に何か言っている。何を言って...
そうだ、どうせそうだ、誰だってそうだ、誰も僕を愛さない...
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&ref(Anlaufr2アイコン.png);「何故！？ お前まで余を裏切る...
&ref(Totilアイコン.png);「父、さッ… ！！？」
何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ！！！！
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&ref(Anlaufr2アイコン.png);「だが、もうさせんぞ！ カルル...
なんで僕は自分の子供にまで馬鹿にされなくちゃいけないん...
なんで美しくないんだ。カルルはあんなに美しいのに、なん...
なんで神様はあの時みたいに助けないんだ。なんで神様はこ...
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吹雪の音が止まない。「あの声」が更に大きくなる。何もか...
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&ref(Anlaufr2アイコン.png);「トティル……なぜ…………」
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&ref(Spyアイコン.png);「この上、継承問題を抱えるのは得策...
&ref(Spyアイコン.png);「王子の亡骸は私が丁重に弔わせてい...
&ref(Anlaufr2アイコン.png);「酒を……」
&ref(Spyアイコン.png);「……恐れながら、適量かと。寝室に御...
&ref(Anlaufr2アイコン.png);「ッ……酒を！！ 持って、来いと...
&ref(Spyアイコン.png);「…………は。直ぐに蜂蜜酒を寝室にお持...
&ref(Anlaufr2アイコン.png);「…………」
誰も彼も僕のいう事を聞かない。僕は王様なのに。王様とし...
なんで…… なんで僕は……
ノルドになんて…… 王になんて………… フローニになんて………………
なんで、神様は…… この世は、こんなに……
こんなにも、残酷なんだ…………
…………………………。
*アンラウフ王（後編）4.2.905～ [#r11dcb35]
ノルウェー服属を含め、アンラウフ王が生涯でノルド社会に...
というのも、彼にはノルド社会で得られる人望というものが...
自らの支配者を「王に相応しい者ではない」と看做したノル...
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叛乱である。
ノルウェー征服が為されたのは905年4月の初めであり、この...
これ程の短期間で服属が覆されたのには少々の背景がある。
最初の問題はインリング家を初めとした、ノルウェーの族長...
フローニ家はまだ二代目であり、その歴史の深さではインリ...
アンラウフはインリング家を追放も処刑もせず、ヴェストラ...
次に、アンラウフに付き纏った「同性愛者」の噂と、継嗣問...
アンラウフ王がマエル妃との間に第一子・スヴァンヒルドを...
これに焦ったアンラウフは彼女を宿老に任命して機嫌を取り...
ノルウェー服属戦争も佳境に入った904年後半、マエル妃は第...
オークノー島の族長・バヨラスが単身で叛乱を起こしている（...
そして決定的だったのが、ムロミア族によるウラジミール服...
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デンマークがノルウェーに勝利して数週間の後、ウラジミー...
ノルウェー服属戦争に過剰ともいえる5000人規模の援軍を寄...
アンラウフがそれを知ったのは、つまりその死の実に3年後。...
ウラジミール大族領はリューリクの死によって次男でありリ...
デンマークは元よりノルウェーを圧倒していたが、ホルムガ...
ウラジミール軍は大敗し、国土は次々と敵軍に占領されてい...
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ローンヴァルドにノルウェー王位を求める叛乱は、服属戦争...
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ノルウェー軍はスカンジナヴィア北部の族長で唯一参戦しな...
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911年8月、次男・カルルが誕生（リンダの子と同名であり、...
具体的な死亡状況などは判っていないが、当時の人々は心を...
トティル暗殺説に則った時、なぜカルルではなくトティルが...
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912年2月、アンラウフはユランで催した&ruby(ティング){民...
&ref(Anlaufr2アイコン.png);「……我が&ruby(ヤルル){族長};達...
&ref(Anlaufr2アイコン.png);「このスカンディアでノルドとノ...
&ref(Anlaufr2アイコン.png);「我らの本当の敵、斧の刃を向け...
&ref(Anlaufr2アイコン.png);「確かにあの時、汝らはイースト...
&ref(Anlaufr2アイコン.png);「……汝らには、雪辱が必要である...
&ref(Anlaufr2アイコン.png);「ここで誤魔化すのは辞めにしよ...
&ref(Anlaufr2アイコン.png);「真に武勇の証明を欲しているな...
&ref(Anlaufr2アイコン.png);「幾度となくノルドを退けたあの...
&ref(Anlaufr2アイコン.png);「あれを破り、南ユランを完全に...
&ref(Anlaufr2アイコン.png);「汝らの陰口の通り、余は臆病者...
&ref(Anlaufr2アイコン.png);「お前達は武勇の欠けたままで、...
&ref(Anlaufr2アイコン.png);「……号令は余が発してやろう。集...
&ref(Anlaufr2アイコン.png);「どんな魔物も恐れ戦くノルドの...
……南ユランに食い込む東フランク領の獲得、いや、カール大...
これはつまり、キリスト教国への積極的な敵対を意味する。...
&ref(ハンマブルクの挑戦.png);
これが、アンラウフ王最大の失策として知られる「ハンマブ...
デンマークが得た束の間の平和と安定を、「束の間」のもの...
|[[AAR/フレイヤの末裔/アンラウフ王（完結編）]]に続く|
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