シュヴァーベン公だったAmaneusは甥で同姓同名のAmaneusを説得し、プロヴァンスを継承、ブルグンド王位を宣言し、ボヘミア王と並ぶ神聖ローマ帝国で最高位の諸侯のひとりとなった。
ルクセンブルク王宮*1。
ブルグンド王Amaneus、参じました。
よく来たな。
陛下直々のお呼び出しというのも珍しい。
そうか?例年、宴には来てくれるではないか。
しかし、今日は宴会というわけではないのでしょう?
もちろん、違う。実は折り入って話があってな。
何でございましょう?
Amaneus君、君はアキテーヌ王国についてどう思うかね?
アキテーヌ、ですか?
そうだ。確か、ブルグンドはアキテーヌと戦争をしている。もう15年も前の話だ。
私がちょうど、プロヴァンスを留守にしていた頃の話です。
少し詳しく話してはくれぬか?
正直に言ってあまり思い出したくない話です……。しかし、陛下のご要望ということであれば……。
我が兄、Ruprechtは愛妻家としても知られていますが、実はそれには裏の顔があったのです。
ほう。
私の最初の妻は、デンマークの王女Helenaでした。
あの国は近年、急速に力をつけてきているからな。
デンマーク王国はポーランドを併合し、一大勢力として台頭していた。
ええ。Helenaは私からすれば5つも年上で、さほど美しくもない妻でした。
政略結婚は珍しいものではあるまい。
その通りです。しかし、話はそれに留まらないのです。
留まらない?
私は30歳を過ぎてシュヴァーベン公に就き、シュトゥットガルトへ向かいました。
そうだったな。
当然、妻のHelenaも連れて行くのですが、彼女はプロヴァンスを去ることがすごく後ろめたいようでした。
プロヴァンスは南国だ。過ごしやすかったということもあろう。
私もそう思っていたのです。しかし、どうやらそれだけではなかったのです。
と、いうと?
彼女はシュトゥットガルトに住みながら、幾度となくプロヴァンスを恋しがり、何度も訪ねて来ていたようです。私にも内緒で。
それは尋常ではないな。
ある日、彼女はしきりにプロヴァンス行きを主張しました。その場で断りましたが、あまりの懇願ぶりに私は彼女の行動調査を臣下に命じたのです。
そして、私は知ってしまったのです。彼女が恋しがっていたのはプロヴァンスの太陽などでは無かったということを。
兄Guilhemと妻Helenaの愛人関係を知ったAmaneusの心中はいかに
思い返してみれば、プロヴァンス時代から思い当たる節はいくつもありました。
左様か。
私は怒りのあまり彼女を投獄し、結局は処刑することに決めたのです。
AIが妻を処刑するというのもなかなか珍しい気がします。
ところで、この話はどこでアキテーヌと繋がるのかね?
兄、Ruprechtは確かに妻のKonstanzeを愛してはいましたが、彼女の方が受け入れなかった所があったようです。
ふむ。
三人の子供を儲けた後、Konstanzeは突如として貞節を誓い、夫をも許さなくなっていました。
兄は……、肉欲の捌け口を求めていたのだと思います。
そういうことか。
ところで、私の祖父GuilhemにはIsabeuという妹がいました。
随分と昔の話だな。
彼女は最後の統一フランス王Amaury*2の五男、Raynaudを婿に貰っていました。
王子とはいえ五男ともなれば余所に婿に入ることもあろう。
実は、Isabeuに先立たれたRaynaudはプロヴァンス宮廷に留まり、その地で後妻を娶っているのです。
プロヴァンスにカペー家の者が居住しているという噂は本当だったのだな。
ええ。
兄Ruprechtは私が妻のHelenaを処断してからも、新たな愛人を求めていました。
ようやく話が見えてきたぞ。
御察しの通りです。兄が見初めたのがIda Capet。当時はまだ16歳の少女に過ぎませんでした。
あの男も、静かなようでいて随分といろいろやっていたのだな。
二人の間にはすぐに子供までできています。自分と同じRuprechtと名付けるあたりに兄の入れ込み加減も分かるのではないでしょうか?
ここまでは、まぁ、良くある話ではないか。
そうです。ですが、Idaの要求は留まるところを知りません。
留まるところ?
既に述べた通り、IdaはRaynaud Capetを通じてAmaury王の血を引いています。
なるほど。
彼女は兄に、自身の父、Josselinをアキテーヌ王位に就かせるようねだったのです。
Idaはフランス王家の血を引く娘だったが、外交・謀略にも優れた野心家(Ambitious)だった。 17歳にしてプロヴァンス公Ruprechtを愛人として子供を儲けたほか、 プロヴァンス軍にアキテーヌを攻撃させ、父Josselinをアキテーヌ王に戴冠させた。
とんだ女だな。
だから、軍事力に関して言えば、あの国の力は大きく衰えていますよ。それは確かです。
それは良かった。実は、私はアキテーヌを地中海から締め出したいと考えている。
ルシヨンを請求するのですね。
そうだ。君の請求権を利用させてもらうよ。
ルシヨン(Rosello)はアキテーヌに残された最後の地中海に面した港湾である。 ちなみにナルボンヌはすでに戦争によりピサ共和国に奪われている。
ただ、アキテーヌ王Josselinはブルグンドが立てた王だったからな。その点だけが気になっていたのだ。
そうでしたか。そういうことであれば、私はまったく構いません。
そうか。
いや、むしろあの不幸な顛末には恨んでさえいるということは解っていただけたでしょう。
神聖ローマ皇帝Poppoは配下であるブルグンド王Amaneusがバルセロナ公でもあり、ルシヨンの本来(de jure)の領主であると主張してアキテーヌ王国に対し宣戦を布告した。度重なる戦争に疲弊したアキテーヌ軍は抵抗という抵抗を示さず、降伏を申し入れたという。
自らCBを持っていない場合でも配下(廷臣・封臣)がCBを持っていれば、それを主張して宣戦することができます。ただし、(当然ながら)戦果は自分のものになるのではなく、臣下のものとなるので注意が必要です。これを利用して、請求権(claim CB)を持った人物を引き抜く、婚姻によって自身の宮廷に招く(たとえば、今回の例ではフランス王の息子を女系結婚で宮廷入りさせています)、配偶者や保護者を宮廷に招くことで家族として招き入れるなどといった方法で自らの臣下とすれば、その人物のCBを自由に行使できるのです。 注意しなければならないのは、この手法で自らの版図を拡大するにはいくつかの条件があるということです。まず、配下のCBによって得られる称号が自分の第一称号と同等以上のものである場合、結果的にその配下は独立することになり、その配下の所領が自分の支配から外れてしまいます。ですから、自らの版図の拡大を目的とするのであれば、狙える称号は自らの第一称号未満の階級に限られるということです。
版図の拡大を企図する際の第二の注意点はclaimを持つの配下が封土を持たない廷臣である場合です。この場合も、通常は領地を獲得したその人物は臣従せず、独立諸侯となります。ただし、これには例外があり、血統を同じくする(同じ王朝に所属する)人物であれば、自動的に封臣とすることができます。この意味では、「請求権を持った同じ王朝の人物」は扱いやすく(opinionにボーナスもありますし)、継承可能なclaimを持った人物を引き抜いて、遠縁の女と女系結婚させておく、といった手法は有効といえます。
次に、すでに封土を持つ封臣のCBを行使した場合ですが、この場合は、自らの第一称号に並ぶ称号を得るのでなければ、自らの版図が広がることとなります。ですから、請求権を持った廷臣に適当な所領を与えておいて宣戦を布告するという手法が頻用されることとなります。最初に与える所領はどんなにささやかなものでも構いません。まとめると、下記のようになります。
最後に、追加的な事実ではありますが、他者のCBを行使して戦争を行った場合、行使してもらった人物のopinionに一定のボーナスが入るようになっています。ちょうど懐柔したい人物が手ごろなCBを持っているのであれば、利用する手もあると思います。 今プレイを見ると、皇帝Poppo I世は、Amaneus王のde jure CBを行使し、アキテーヌに攻め込み、ルシヨンを獲得しました。Amaneus王はもともと神聖ローマ帝国の封臣でしたから、これにより神聖ローマ帝国の版図は1プロビンス分だけですが、拡大しました。前プロヴァンス公のRuprechtも、廷臣でフランス王の傍系だったJosselin Capetのclaim CBを行使してアキテーヌを攻略していますが、この際はRuprechtの版図は拡大せず、帝国の版図も拡大せず、単にアキテーヌの王が挿げ替えられただけです。 実は、このアキテーヌへの戦争は上記の仕様の確認のためにやってみたもので、リセットするつもりで遂行していたのですが、王が変わってメリットこそなかったものの、これといってデメリットもなかったので、リセットせずに継続したものです*3。
神聖ローマ皇帝のPoppoは、Amaneusがブルグンド王位を獲得して以来、Amaneusを大いに恐れるようになっているようです。皇帝選挙でAmaneusを指名する、AmaneusのCB(de jure CB)を主張してアキテーヌと戦争を繰り広げるなど、Amaneusの機嫌を取るかの如く行動をするようになっています*4。
皇帝PoppoはAmaneusに投票している。
AmaneusはPoppoよりも10歳以上年上なので、すぐに皇帝位が回ってくる状況ではありませんが、神聖ローマ皇帝への戴冠も現実味を帯びてきたのかも知れません。投票者を見ると、ドーフィネ公などブルグンド王国のde jureに含まれる諸侯はこぞってAmaneusの帝位継承を支持しているようです。