かつての世界の覇者、ローマ帝国から遥か北東の草原 そこには1万人ほどの遊牧民が暮すBOLGHAR国がある。
BOLGHAR国の大ハーンは名門DULO家出身であり DULO家は現ブルガリア王も輩出している。
その大ハーンの臣下にEzgil家のハーンIslivanがいる このAARはそのEzgil家の歴史である
Ezgil家は現在、大ハーンと並びBOLGHAR国の2大勢力の 一角を成しBOLGHAR国の全領土5州の内2州を支配している。
Ezgil家の当主Islivanは野心家で大ハーンの地位を狙っている だが武力による即位は望んでいない この激動の時代に内乱で他国に弱みを見せる事は死を意味するからだ だが、いずれはBOLGHAR国の指導者となり大帝国を築きあげる それがIslivanの夢である。そのためには今は実力を蓄える事が大切 幸い西には蛮族が住んでおり奪い取れる領土は広大である、だが 蛮族の数はあまりに多く逆にこちらが滅亡しかねない状況にある
769年1月30日 Islivanは軍備を拡張し最大兵力を750に増やし MARI公爵から領土を奪い取るため北上した。
その道中で大ハーンより援軍要請の使者が来た Bilar家が大ハーンの領土没収命令(クラン断絶)に逆らい 反乱を起こしたのだと言う。 だが援軍要請の使者はBilar家(反乱軍)からも来た
Islivanは悩んだ。謀反などしたくないのだ しかし、助けを求めるBilar家を滅亡させる事は Islivanの義(親切心)が許さない 理不尽な命令をした大ハーンに非があるのは明白だ Islivanは一晩中迷いに迷い遂に反乱軍に身を投じる決意をした 翌日、家臣たちに義によりBilar家に味方する旨を告げた
BOLGHAR国の混乱に乗じ漁夫の利を狙う者もあった Mordvins公爵が宣戦布告してきたのである
769年7月 大将同士の決戦では大ハーン軍はBilar家の軍を完膚なきまでに 叩きのめした。だが、Islivan率いる軍勢が 大ハーンの本拠地を攻め落とした事により形成は逆転した
元々は大ハーンに謀反を起こす気のなかったIslivanは 平和的な和睦を望んでいた、だが和平会議の結果を知り驚愕した。 和平会議の席に現れた大ハーンをBilar家が殺害し、 Bilar家自身が新たな大ハーンに即位したのである
Islivanは即座に譲位を新大ハーンに要求した Islivanが謀反に加担したのはお家取り潰しを憐れんだ 義(親切心)によるものであり、大ハーン殺害の意図は無かった 当然Bilar家の即位を認める事はできない。
大ハーンを交代するなら Bilar家は恩人であるIslivanを推戴すべきであり 自身がIslivanの上に立ち大ハーンになるなどと言う 人の道を外れたBilar家を許す事はできない
Islivanは当然Bilar家は譲位するものと高を括っていたため 軍勢をBilar家に進軍せず、大ハーン即位の前祝いをしていた 数日後にBilar家から来た返答はNOであった
新大ハーン率いる250人のBilar家の軍は果敢に Islivan軍750人に立ち向かった だが兵力差は歴然であり新大ハーンの治世は三日天下に終わった
新大ハーンは自決しIslivanが大ハーンとなった 769年12月30日の事である
思えばわずか一年前にはIslivanは大ハーンと共に国を発展させ、 いずれ絶大な権力を得て平和裏に大ハーンに推戴され 大帝国を築く夢を抱いていた。 だが現実には図らずとも武力により大ハーンとなってしまった。
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