初心者による初心者のためのブルグンド王国

本章の登場人物

amaneus.jpg ブルグンド王 poppo.jpg 神聖ローマ皇帝Poppo I世

Ruprechtの秘密 (1263年)

ルクセンブルク王宮*1

amaneus.jpg ブルグンド王Amaneus、参じました。 poppo.jpg よく来たな。 amaneus.jpg 陛下直々のお呼び出しというのも珍しい。 poppo.jpg そうか?例年、宴には来てくれるではないか。 amaneus.jpg しかし、今日は宴会というわけではないのでしょう? poppo.jpg もちろん、違う。実は折り入って話があってな。 amaneus.jpg 何でございましょう? poppo.jpg Amaneus君、君はアキテーヌ王国についてどう思うかね? amaneus.jpg アキテーヌ、ですか? poppo.jpg そうだ。確か、ブルグンドはアキテーヌと戦争をしている。もう15年も前の話だ。 amaneus.jpg 私がちょうど、プロヴァンスを留守にしていた頃の話です。 poppo.jpg 少し詳しく話してはくれぬか? amaneus.jpg 正直に言ってあまり思い出したくない話です……。しかし、陛下のご要望ということであれば……。     amaneus.jpg 我が兄、Ruprechtは愛妻家としても知られていますが、実はそれには裏の顔があったのです。 poppo.jpg ほう。 amaneus.jpg 私の最初の妻は、デンマークの王女Helenaでした。 poppo.jpg あの国は近年、急速に力をつけてきているからな。   denmark.jpg

デンマーク王国はポーランドを併合し、一大勢力として台頭していた。

  amaneus.jpg ええ。Helenaは私からすれば5つも年上で、さほど美しくもない妻でした。 poppo.jpg 政略結婚は珍しいものではあるまい。 amaneus.jpg その通りです。しかし、話はそれに留まらないのです。 poppo.jpg 留まらない? amaneus.jpg 私は30歳を過ぎてシュヴァーベン公に就き、シュトゥットガルトへ向かいました。 poppo.jpg そうだったな。 amaneus.jpg 当然、妻のHelenaも連れて行くのですが、彼女はプロヴァンスを去ることがすごく後ろめたいようでした。 poppo.jpg プロヴァンスは南国だ。過ごしやすかったということもあろう。 amaneus.jpg 私もそう思っていたのです。しかし、どうやらそれだけではなかったのです。 poppo.jpg と、いうと? amaneus.jpg 彼女はシュトゥットガルトに住みながら、幾度となくプロヴァンスを恋しがり、何度も訪ねて来ていたようです。私にも内緒で。 poppo.jpg それは尋常ではないな。 amaneus.jpg ある日、彼女はしきりにプロヴァンス行きを主張しました。その場で断りましたが、あまりの懇願ぶりに私は彼女の行動調査を臣下に命じたのです。   wife.jpg   amaneus.jpg そして、私は知ってしまったのです。彼女が恋しがっていたのはプロヴァンスの太陽などでは無かったということを。   lovers.jpg

兄Guilhemと妻Helenaの愛人関係を知ったAmaneusの心中はいかに

  amaneus.jpg 思い返してみれば、プロヴァンス時代から思い当たる節はいくつもありました。 poppo.jpg 左様か。 amaneus.jpg 私は怒りのあまり彼女を投獄し、結局は処刑することに決めたのです。   execute.jpg

AIが妻を処刑するというのもなかなか珍しい気がします。

  poppo.jpg ところで、この話はどこでアキテーヌと繋がるのかね? amaneus.jpg 兄、Ruprechtは確かに妻のKonstanzeを愛してはいましたが、彼女の方が受け入れなかった所があったようです。 poppo.jpg ふむ。 amaneus.jpg 三人の子供を儲けた後、Konstanzeは突如として貞節を誓い、夫をも許さなくなっていました。   celibate.jpg   amaneus.jpg 兄は……、肉欲の捌け口を求めていたのだと思います。 poppo.jpg そういうことか。   amaneus.jpg ところで、私の祖父GuilhemにはIsabeuという妹がいました。 poppo.jpg 随分と昔の話だな。 amaneus.jpg 彼女は最後の統一フランス王Amaury*2の五男、Raynaudを婿に貰っていました。 poppo.jpg 王子とはいえ五男ともなれば余所に婿に入ることもあろう。 amaneus.jpg 実は、Isabeuに先立たれたRaynaudはプロヴァンス宮廷に留まり、その地で後妻を娶っているのです。 poppo.jpg プロヴァンスにカペー家の者が居住しているという噂は本当だったのだな。 amaneus.jpg ええ。     amaneus.jpg 兄Ruprechtは私が妻のHelenaを処断してからも、新たな愛人を求めていました。 poppo.jpg ようやく話が見えてきたぞ。 amaneus.jpg 御察しの通りです。兄が見初めたのがIda Capet。当時はまだ16歳の少女に過ぎませんでした。 poppo.jpg あの男も、静かなようでいて随分といろいろやっていたのだな。 amaneus.jpg 二人の間にはすぐに子供までできています。自分と同じRuprechtと名付けるあたりに兄の入れ込み加減も分かるのではないでしょうか? poppo.jpg ここまでは、まぁ、良くある話ではないか。 amaneus.jpg そうです。ですが、Idaの要求は留まるところを知りません。 poppo.jpg 留まるところ? amaneus.jpg 既に述べた通り、IdaはRaynaud Capetを通じてAmaury王の血を引いています。 poppo.jpg なるほど。 amaneus.jpg 彼女は兄に、自身の父、Josselinをアキテーヌ王位に就かせるようねだったのです。

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Idaはフランス王家の血を引く娘だったが、外交・謀略にも優れた。
17歳にしてプロヴァンス公Ruprechtを愛人として子供を儲けたほか、
プロヴァンス軍にアキテーヌを攻撃させ、父Josselinをアキテーヌ王に戴冠させた。

poppo.jpg とんだ女だな。 amaneus.jpg だから、軍事力に関して言えば、あの国の力は大きく衰えていますよ。それは確かです。 poppo.jpg それは良かった。実は、私はアキテーヌを地中海から締め出したいと考えている。 amaneus.jpg ルシヨンを請求するのですね。 poppo.jpg そうだ。君の請求権を利用させてもらうよ。

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ルシヨン(Rosello)はアキテーヌに残された最後の地中海に面した港湾である。
ちなみにナルボンヌはすでに戦争によりピサ共和国に奪われている。

poppo.jpg そうだ。ただ、アキテーヌ王Josselinはブルグンドが立てた王だったからな。その点だけが気になっていたのだ。 amaneus.jpg そうでしたか。そういうことであれば、私はまったく構いません。 poppo.jpg そうか。 amaneus.jpg いや、むしろあの不幸な顛末には恨んでさえいるということは解っていただけたでしょう。

神聖ローマ皇帝Poppoは配下であるブルグンド王Amaneusがバルセロナ公でもあり、ルシヨンの本来(de jure)の領主であると主張してアキテーヌ王国に対し宣戦を布告した。度重なる戦争に疲弊したアキテーヌ軍は抵抗という抵抗を示さず、降伏を申し入れたという。

神聖ローマ皇帝による“懐柔策”

神聖ローマ皇帝のPoppoは、Amaneusがブルグンド王位を獲得して以来、Amaneusを大いに恐れるようになっているようです。皇帝選挙でAmaneusを指名する、AmaneusのCB(de jure CB)を主張してアキテーヌと戦争を繰り広げるなど、Amaneusの機嫌を取るかの如く行動をするようになっています*3

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皇帝PoppoはAmaneusに投票している。

AmaneusはPoppoよりも10歳以上年上なので、すぐに皇帝位が回ってくる状況ではありませんが、神聖ローマ皇帝への戴冠も現実味を帯びてきたのかも知れません。投票者を見ると、ドーフィネ公などブルグンド王国のde jureに含まれる諸侯はこぞってAmaneusの帝位継承を支持しているようです。


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*1 ロンバルディア朝となっても皇帝の居城はルクセンブルクに置かれている。
*2 戦争によってフランスの再統一を果たしたが、死後王国は長男と次男に分割して相続された
*3 AIが配下のCBを行使してルシヨンの請求を行った“動機”ははっきりとは分かりません。

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