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9代目当主にして2代目アルメニア王のFarhadである。
Amida市長のSinaです。よろしくお願いします。
市長よ、余は他人とコミュニケーションをとることが苦手だ（外交能力0）。こんなので王が務まるのだろうか…。
ご心配せずとも大丈夫です。先王の残した優秀な顧問団が陛下の補佐を行っていきますので。陛下は堂々と構えていてください。
そうか。ちょっと安心した。偉大な父と比べて何もしてない余は、皆からなめられるのではと思ってしまってな。
陛下は今日まで公爵として立派に領地を統治してこられました。陛下のことを見くびるようなものはいませんよ。
そう言ってくれてとてもうれしい。しかしだからといって余の不安は完全には拭えない。気になることがあれば何でも指摘してくれ。
では１つよろしいでしょうか？
お、何かあるのか？
恐れながら陛下はかつらというものをご存知でしょうか？
は？
お顔の下の部分はヒゲを生やされ充実しておりますが、対照的に上の部分が寂しくなっております。是非着用されるべきかと。
おい馬鹿だまれ…。しばくぞ？
気になることがあれば何でも指摘せよとおっしゃったではないですか。
禿をなめんなよぉぉぉぉ！
ずっと外交能力が高い当主が続いてきたのに、遂に外交0の当主が現れる。traitを見てもあまり対人関係が上手くなさそう。
なあ、市長。聞いてくれよ。
そんなに深刻な顔をされてどうなさったのですか？
余の夫人の一人が妊娠したのだ。
おお！それはおめでたい！！
何がめでたいものか。きっと余の子ではないに決まってる。
何でそう思われるのですか？確証でもあるのですか？
そんなものは特にない。だが、余なんかのために子をつくってくれるはずがない。浮気したに決まってる。
ただの思い込みですか…。少しは人を信じられてはいかがですか？夫人は陛下のことをとても愛されているのですよ。
そんなわけがない。こんなブサイクで人との会話もままならい余のことを好きになってくれるはずがないんだ。
…。これは重症だな…。
嫁が妊娠した時にこのイベントが発生する条件は何なんだろう…。
どうしたんですか、戦支度なんかされて？
いやあ。同盟関係にあるNotani公爵からインドを攻めるための援軍要請が来てね。
まさか承諾したのですか？
ひたすら低姿勢で頭を下げられてお願いされたら断れんよ。それにしても他人に必要とされるって気分がいいなあ。何だか人を信じることができそうだ。
Notani公爵は先王の時に援軍要請を拒否して盟約を破ってきた不届き者ですよ？こちらが要請に応じる義理はありません。
しかし同盟相手は友だろ？
しょせんは自勢力の利益のために結ばれるものにすぎません。先王の時に嫌というほど感じさせられました。こちらが少しでも不利になればすぐに敵方に参じるのが同盟相手というものです。純粋な意味での同盟などこの世に存在はしませんでしょう。
…。やっぱり人を信じることは無理だわ。
結局要請に応じたものの兵は送りませんでした。
は～あ…。
そんなに落ち込まないでくださいよ。
だってさあ…。
もう、気晴らしに旅行にでも行ってきてはどうでしょうか？
旅行？
イスラム教の聖地であるメッカにです。聖地に赴けば少しは心が洗われるのでは？
「巡礼に行ってこいや」
うーむ。市長がそこまで言うなら行ってくるか。
「行ってきま～す」
西暦1070年末。Farhadは聖地巡礼の旅に出た。道中色々なことがあったものの旅自体はとても楽しかったようで、笑顔を見せて帰って来た。
ただいま～
あ、お帰りなさい。
ん？騒がしいけど何かあったの？
陛下が旅に出られている間に皇帝Sharuz様が亡くなったのですよ。
「あの世でもパパに言いつけてやる」
先王,いや、陛下の父君にとってまことに因縁深き相手でした。
ふーん。
それにしても、陛下。旅に出られたことで何だか明るくなられたような気がしますな。
自分に自信が持てるようになったし、人を信じられる気持ちになれたよ。提案してくれてありがとう。
それはそれは…。本当に良かったです。
西暦1074年4月。Farhadを支える顧問団の動きが急に慌ただしいものとなった。 日夜地図を開き議論を戦わせるとともに、間者を頻繁に派遣し情報収集を行う姿が目につく程であった。
市長、最近顧問団の面々が忙しいようだが何をしているのだ？
陛下は気になさらずとも結構です。どっしりと構えていてください。
余に話せないのか？もしかして、余の退位を画策しているのではないか！？
そのようなこと考えてはおりませんよ。顧問団が今行っていることは、ある「作戦」のための準備です。この「作戦」が成功すれば、Bavandid家、ひいては陛下に大きな利をもたらすものなのです。
ではなぜ余に教えてくれないのだ？余のことが嫌いなのか？
またそのようなことを…。実は陛下には「作戦」の内容を隠すように、とある方に指示されたのですよ。
誰だそいつは？
私だよ。
叔父上！
これはアルメニア公殿下。お早いお着きで。
叔父上の指示なのですか？何でそんないじわるをするのです？叔父上は余のことが嫌いなのですか？
「作戦」が失敗しても家来たちが勝手にやった、お前は何も承知してなかった、ということにするためだ。全てはお前のためなのだよ。
そんなのどうせ嘘でしょう？余を除け者にしたいのでしょう？また人を信じられなくなりそうだ…。
…。こんな調子なのか…。
こちらも困り果てております。いかがいたしましょう？
放っておけばよい。「作戦」の成果を見ればこやつも気を取り直すであろう。
御意。
かくしてアルメニア公と顧問団主導によりある「作戦」が実行に移された。 この「作戦」が成功すれば、歴史は大きく塗り替えられるであろう。それほどのものであった。 しかし、今回の件から蚊帳の外に置かれたFarhadの人間不信はより強いものとなっていった。
ああ…。もうだめだ。
余はみんなから仲間はずれにされた。
誰も余のことを見ていてくれるものはいないのだ。
廷臣と顔を合わすたびに、彼らが余のことを嘲り笑っているように見えてしまう。
余は孤独なのだ。
1人で寂しくあの世へと旅立とう。
陛下、失礼いたします。あれ、倒れられてる？誰か～！！
西暦1074年5月。アルメニア王Farhadは急死した。享年44。 誰も信じられなくなりストレスを溜めすぎたことにより心臓に負担を掛けすぎた結果生じた、心臓発作が原因であるという。 後は嫡男のAminが継いだ。
うーむ。死んでしまったか。情けないやつめ…。
「作戦」は新王のもとで続行いたしましょう。
思えばかわいそうな奴だった。あの世で穏やかに過ごせていることを今は願うばかりだ。
Farhad王のためにも「作戦」を絶対成功させなければなりませぬな。
「作戦」の詳細はいったい何なのか？それは次回明らかとなります。
こんなに焦らしておきながらたいした作戦じゃなかったら、しょうちしないぞ…！
