プッリャ公シビル: さっそくアルマン卿を王位に推す派閥に入ったわ。 …って、あなたは派閥に入らないの? ベネヴェント公ウィリアム2世: いや、まあ、もう少し情勢を見極めてから…。(Craven)
シ: 派閥が全然広がらないわ…。 ねえ、そろそろあなたも派閥に入ってよ。 ウ: それよりさ…、まだ子供はできないの? オートヴィル家の発展のため、君が一番にやるべき仕事は子供を産むことだろう?(Arbitrary) シ: なによ…、できないものは仕方ないじゃない!
シ: まったく…、お菓子を食べなきゃ、やってられないわ…。 ウ: 久しぶりに会いに来てみたら…、なんだい、その姿は!? 世間では君のことを「肥満女公」って呼んでるよ。 シ: うるさい、うるさい!私の気持ちも知らずに…!
シ: もう…、分かったわよ。 アルマン卿の派閥からは抜けるわ。 あなたを王位に推す派閥を新たに立ち上げる。 これでいいんでしょ?
ウ: そうそう。やっぱり、自分からじゃなくて周りから推される形じゃないと格好がつかないし。 シ: (私の夫は、こんなに身勝手な人だったの?)
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シ: 夫の派閥も全然広がらない…。 王は誰の領地も取り上げずに寛大に治めている。 みんなそれを受け入れてしまっているの?
シ: 私が…、私がオートヴィル家をもり立てなきゃ…。 私がやるしかないんだ…(Depressed)
シ: 夜、なかなか眠れない…。 過食と嘔吐の繰り返しで、毎日がつらい…。 子供も全然できないし…。
シ: お父様…、なぜ私を後継者にしたの? 姉のヴァルドラーデは、ビザンツの皇后として子を産み、立派に皇帝を補佐していると聞くわ。
シ: なぜ姉に継がせなかったの? 私には無理なのよ。 領地を経営して、子を産んで、オートヴィル朝も再興して…。 何ひとつ、うまくいかない。
シ:このまま石女(うまずめ)として、一族の役に立てずに恥をさらすくらいなら…。 死んだほうが…、一族のため…。
シ: ………でも………、勇気がない…………。
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シ: …うぷっ。 何?この吐き気は…。こんなの初めて。 …ふふ、ちょうどいいわ。病気で死ぬなら、神の教えにも背かない。 でも…、死ぬ前になんだか無性に食べたくなったわ…。
シ: ねえ、お母様。なにか食べたい。 母・ナバラ王女ブランカ: はいはい。またお菓子ですね。 シ: うん。…いえ、待って。今はすっぱいものが食べたい。 母: すっぱいもの?今まではそんなもの欲しがったことなかったわよね。 …あ! シ: え?
シ: うそ…。妊娠したの…?
長男オズバーン誕生。
シ: これが…、私の子供…。 ウ: シビル、よくやってくれたね。 シ: あなた。 ウ: 君が石女なんじゃないかとずっと心配だったんだ。 でも、これで安心したよ。 こんれからどんどん作っていこう! シ: (ほんと、配慮のない男…!)
シ: 二人目を妊娠したわ。 ウ: いいねー。オズバーンを産んだことで弾みがついたのかな? ところで、シチリア王ハインリヒがアイユーブ朝のトリポリタニアへの聖戦を宣言したんだ。 私も指揮官として出征するよ。
シ: 王は何を考えているの!? 神聖ローマ帝国ではなくシチリア単体でなんて、勝てるはずないじゃない…。
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シ: シチリア軍の出港直後に、教皇もエルサレムへの十字軍を宣言! シチリア軍の船も、トリポリタニアではなくエルサレムへと進路を変更したようね。 十字軍なら、私も積極的に参加するわ! 弟・タンクレード: 姉さん、無茶だ。お腹に赤ちゃんがいるのに。
シ: 身重だろうがなんだろうが行くのよ! あなたも、密偵頭の仕事を中断して参加しなさい!
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弟: 姉さん、着いたよ。上陸だ。 シ: アッコン(Acre)を攻略中のシチリア軍に合流するわよ。 今度こそは鎖マークをクリックして、シチリア軍にピッタリ寄り添っていくわ。
シ: アッコンを包囲している間に娘が生まれたわ。 レセリンと名付けましょう。 弟: 包囲中で良かったよ。行軍中に出産してたら大変だったと思う。 シ: それにしても焦れったいわね。決戦はまだなの? 弟: 諜報活動も戦争も、じっと機会をうかがうことが大事だよ。(Elusive Shadow, Patient)
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シ: アッコンを落とした後はシチリア軍とは分かれて、各地で小競り合いをしながら決戦の舞台が整うのを待つ日々…。 弟の言うとおり、戦争ってほとんどが待ち時間なのね。 ゲルマンとの戦争ではすぐに捕まっちゃったから分からなかったけど。 遠い東の国では、戦地での暇つぶし用に麻雀っていう遊びが流行ってるって聞いたわ。
シ: 昨日も今日も、食べて、寝て、ときどき偵察して…。 怠けてばかりで無駄に思えるけど、有利な状況で決戦するためには、欠かせない投資なのよね。 焦れったいけど、どっしり構えなきゃ。
シ: さーて、今日も最低限の警戒をしつつ、のんびり過ごすかぁ…。 そういえば…、最近はぐっすり眠れるなぁ。 戦地とはいえ、気を張ってばかりじゃ長続きしないもんね。 体も軽くなったかな。 戦場では食べられるときに食べとけとは言うけど、いざという時に動けるように自然と控えめになるし。 心も体も軽くて…、あれ?
シ: 鬱が…、鬱が治ってる…!?
シ: え、これが神の奇跡なの? 聖地のご利益なの? …この素晴らしい体験を、みんなに伝えなきゃ! そう…、本を書くのよ! 『鬱は十字軍で治せ! ーー諦めていませんか?鬱は治る病気です!ーー』 印税収入! 有名人! 教祖! よーし、書かなきゃ、書かなきゃ、書かなきゃ…。
シ: ハッ…。 こうやって、すぐ調子に乗ったり思いつめたりするから鬱になったのよね…。 これからの私は、この戦地での日々と同じように生きていけばいいんだわ。 あ、今日の分の日誌書いとこ。 「本日も自宅(陣地)に異常はありませんでした! ∠(`・ω・´)」っと。
十字軍は各地で勝利を重ね、決着は時間の問題となった。 ある時、プッリャ軍とシチリア軍は久しぶりに合流した。
ウ: おや、シビルじゃないか。 アッコンの攻城戦以来だね。 シ: あなた。私、鬱が治ったみたいなの! ウ: それは…、良かったね。 シ: 何よ、嬉しくないの? ウ: いや、そうじゃなくて。 今、こっちは国王が負傷して微妙な空気なんだ。 シ: 負傷? ウ: 昏睡状態だ。すでに船で本国に帰している。
シ: これは…! ウ: シチリア軍はノルマン人ばかりだ。 憎っくきゲルマン人の王が再起不能になったことで、お祝いしてもいいくらいなんだけど…。 彼も、最後まで勇敢に戦った立派な十字軍戦士だ。 だから、素直に喜ぶことはできない。 そういう空気なのさ…。 シ: (あなたにも、そのくらいのデリカシーはあったのね…。) それにしても、王には子がなかったはず。 後継は誰が? ウ: 2年前に亡くなったパヴィーア市長ハインリヒが最後に作った4歳の娘、アグネスだよ。
シ: もしかして…、私たちの息子・オズバーンと結婚させれば、王位をオートヴィル家に取り戻すことができるんじゃない? ウ: ははは、無理だよ。女系結婚じゃないと承諾してくれないだろう。
シ: できた。 ウ: ( ゚д゚)ポカーン オートヴィル朝の復興が…、こんなにあっさりと…。
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シ: 9月25日、講和が成立して十字軍が勝利したわ! 1187年10月2日から43年ぶりにエルサレムを取り戻したのね。
シ: シチリア単体によるトリポリタニアへの聖戦は失敗したけど、まあ、これは当然よね…。 まあ、これからは平和に暮らしていけそうね。 神聖ローマ帝国の傘下に入ったことで、ビザンツ帝国も容易に手出しはできないだろうし。 悔しいけれど、ゲルマンの力を認めなくちゃね…。
シ: 息子のオズバーンも6歳になったことだし、満を持して私が教育するわ。
息子・オズバーン: あ、太ってる!。太ってる人はデブって言うんだよね!デブだ! シ: (ビクッ) 女性: 奥様、どうにかしてください! お子様がこんなひどいことを言うんですよ! シ: (あ、私のことじゃなかったのね…) オ: ママ、太ってる人をデブって言っちゃダメなの? 本当のことなのに…。 シ: あんたねぇ…。正直にも限度ってものがあるのよ! あんたのママも太ってるんだから、そこらへん、しっかり気配りできるように、な り な さい!(ぐりぐりぐり) オ: いでででででで シ: (ま、こうやって我が子の教育に専念できるくらい平和ってことよね)
――そんな折――
ウ: 皇帝ラインハルトが、彼の叔父・フィリップが所有するブルゴーニュ伯爵領を没収しようとしたところ、フィリップが拒絶して内戦となったぞ!
シ: そう…。でも、アルプスの北の揉め事なんだし、イタリアは関係ないわね。 ウ: いや。シチリアは反乱側についている。 シ: なぜそんなことを!?反乱なんてすぐに鎮圧されちゃうでしょうに。 ウ: そうでもないぞ。地図上では互角に見える。
シ: 互角ってだけでもすごいわ…。 ウ: さらに動員力を比較すると…。
シ: 5万9千対7千5百? 反乱軍の方が圧倒的じゃないの! それで、シチリアは反乱側についたのね。 ウ: そして、どういうわけか、シチリア王位の継承が選挙制になった。 シ: へ?
シ: なぜ? ウ: フィリップの領地の制度がそのまま適用されたのか、それともフィリップが故意に変更したのか、よく分からない。 もしかしたら…、シチリアを反乱側に誘うエサなのかもな。 シ: 今選挙をすれば、確実に王位はオートヴィル家に移るものね。 シチリア王位を譲る代わりに反乱に協力しろ、ってことか。 ウ: どの道、王位が戻るのは時間の問題だった。 フィリップにとっては安い代価だ。 シチリアの摂政を務める王妃にとっても、彼女は王との間に子がなく、ゲルマンの庶民の出だから王の死後の立場は不安定だ。 我々ノルマン人に恩を売りたいと思ったのかもな。 シ: なるほどね…。
ウ: さて、どうする? シ: 素直に勝ち馬に乗るわ。 ビザンツは対モンゴル同盟に協力して出兵中。 背後を突かれる恐れはない。 援軍を出して新皇帝の歓心を買うことにしましょう。 ウ: そうかい。僕は静観するけどね。(Craven) シ: (あなたが王に選ばれる可能性だってあるのに…。ほんとに臆病で身勝手な人…。)
シ: 戦いは終わった…。 途中からフランスが皇帝側についたけど、劣勢をくつがえすことはできなかった。 新たな皇帝には、フィリップではなくラインハルトの弟・ヴォルフラムが選ばれたわ。
シ: 若く雄々しかった、あのカイザー・ラインハルトも落ちぶれたものね…。
シ: 全ての原因は、理由もなく爵位を奪おうとしたラインハルトの暴虐にある。 皇帝の小さな欲望が、無関係な私達やフランスをも巻き込んだ殺し合いに発展したのだわ。 王たる者は、欲望に任せて軽々に動くべきではないわね。 …私も、肝に銘じなければ…。
シ: そして次期シチリア王は、私の夫・ベネヴェント公ウィリアム2世に決まった。 私を除く5人の公爵全てが夫を選んだのね…。
シ: 「オートヴィル家のために尽くせ」と、お父様はよくおっしゃっていたわ。 私が産んだ子が、王弟の家柄として代々国王を補佐していくことを望んでいたんだと思う。 でも、あの頃とは状況が変わった…。 私の子孫が補佐役ではなく国王になったとしても、お父様の遺志には背かないはず。 オートヴィル家をもり立てたいという気持ちは私も同じ。 皇帝家のような内紛を起こさないためにも、投票で選ばれた夫を堂々と支えるのが私の役目だわ。
シ: …今までためらっていたけれど、私も夫に一票を投じましょう。
シ: 十字軍以来、6年もの間昏睡していたハインリヒ陛下が死去。 私の夫がウィリアム3世として即位し、オートヴィル朝が15年ぶりに復活したわ。
シ: 思えば…、ハインリヒ陛下はシチリア王位を奪うべく産み落とされ、その宿命に翻弄されたのだわ…。 彼個人は気前が良く、思いやりがあり、何より勇敢だった。(Charitable, Kind, Brave) 彼が私たち公爵の領地を取り上げたことは、結局、一度もなかった。 私が無償で釈放されたのも、きっとあの方の配慮によるもの…。
シ: ハインリヒ陛下…、若い頃、口汚くののしったことがあったけれど、どうかお許しください。 あの頃は、ゲルマンの手先というあなたの外側しか見えていなかったの。 互いの内面を見つめて、君臣が信頼を築いていれば、十字軍であなたが生き急ぐこともなかったでしょうに。 先年の皇帝家の争いを見るにつけ、あなたこそが王者にふさわしかったのだと思えてなりません…。
ハインリヒの霊魂: (デュフフ…ww やっぱりシビルたんはツンデレだったんでつねーwww) シ: (ぶるぶるっ) なんだか…、寒気が…。
――後編へ続く――